回 | 項目 | 内容 |
第1回 | イントロダクション | 講義の内容,講義の形式,評価方法,履修上の注意点について説明する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学及びマクロ経済学の教科書の目次等を見返して,これまで学習したことや理解が不十分なところなどを確認する。
【事後学習】2時間
今後の自分としての勉強の進め方を考える。 |
第2回 | 現実の経済政策:歴史的概観 | 戦後の日本経済において実際にどのような経済政策が採られてきたかを,歴史的観点から紹介する。
【事前学習】2時間
新聞やテレビ・雑誌などから経済政策の実例を見付けて,どのような政策なのか調べてみる。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,ある経済政策について,その根拠・効果・代替的政策などについて考えてみる。 |
第3回 | 市場の役割と成果Ⅰ:市場の最適性 | 市場が適切な資源配分を実現できるという主張の理論的背景を,市場の機能や厚生経済学の基本定理を通じて理解する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学の教科書で市場の機能及び市場の最適性について確認しておく(例えば,神取道宏『ミクロ経済学の力』,第3章)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,市場が最適な資源配分を実現する理論的条件やその現実性について考えてみる。 |
第4回 | 市場の役割と成果Ⅱ:市場の失敗と経済政策 | 市場を通じて最適な資源配分ができない場合に,どのような政策的対応が必要となるのかを考える。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学の教科書で市場を通じて最適な資源配分が実現できるための条件を確認しておく(例えば,神取道宏『ミクロ経済学の力』,第3章)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,市場が最適な資源配分に失敗する場合を具体的に想定し,それに対する経済政策を考えてみる。 |
第5回 | 効率性と公平性 | 経済政策論において効率性と公平性のトレード=オフを十分に考慮して議論することが重要であることを理解する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学や公共経済学の教科書で効率性と公平性に対する経済学的アプローチを確認しておく(例えば,Stiglitz, Economics of the Public Sector, fourth edition, chap.7)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,授業内容を良く復習し,さらに,経済政策において効率性と公平性のトレード=オフをどう考えるか、考え方を整理してみる。 |
第6回 | 市場の失敗I:規模の経済(1)理論 | 規模の経済は何故生じるのか,それが存在する場合に市場が適切な資源配配分に失敗するのは何故か,独占が生じた場合どのような問題が生じるのかを解説する。
【事前準備】2時間
ミクロ経済学の教科書で独占の背景や問題点について確認する(例えば,Krugman and Wells, chap.13)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,独占が生じる場合を具体的に想定し,どのような問題が生じるかを考えてみる。 |
第7回 | 市場の失敗I:規模の経済(2)補正策 | 独占が生じた場合の価格規制などの補正策を解説する。なお、特にIT巨大企業やプラットフォーム企業など新しいタイプの独占に対する競争政策についても検討する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学の教科書で独占に対する補正策について確認する(例えば,Krugman and Wells, chap.16)。【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,独占が生じる場合を具体的に想定し,それを補正する政策を考えてみる。 |
第8回 | 市場の失敗I:規模の経済(3)インセンティブ規制 | 規模の経済がある産業に対して、比較的近年採用されているプライス・キャップなどのインセンティブ規制について、理論的背景と現実におけるパフォーマンスを解説する。
【事前学習】2時間
公共経済学の教科書等でインセンティブ規制を扱っている箇所に目を通す(例えば,Tirole, chap.17)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,インセンティブ規制について自分としての考え方を整理してみる。 |
第9回 | 市場の失敗I:規模の経済(4)ケース・スタディ | 規模の経済がある産業における独占行動や規制の例として、情報通信業やプラットフォーム企業などについて、競争の実態や規制のあり方等を解説する。
【事前学習】2時間
公共経済学の教科書等でインセンティブ規制を扱っている箇所に目を通す(例えば,Tirole, chap.17)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,規制の在り方の変化が情報通信業等や経済に与えた影響を自分なりに整理してみる。 |
第10回 | 市場の失敗II:外部性(1)理論 | 外部経済とは何か、それは何故生じるのか、それが存在すると市場は適切な資源配分に失敗するのは何故かを解説する。
【事前準備】2時間
ミクロ経済学の教科書で外部性の背景と問題点について確認する(例えば,Krugman and Wells,chap.16)。 【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,外部経済・不経済が生じる場合を具体的に想定し,どのような問題が生じるかを考えてみる。 |
第11回 | 市場の失敗II:外部性(2)補正方法と実例 | 外部性を補正するためにはどうすれば良いかを議論し、混雑税や排出権取引など実際に採られた補正策を調べてその効果と問題点を解説する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学の教科書で外部性に対する補正策について確認する(例えば,Krugman and Wells,chap.16)。 【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,ある外部性に対する補正策を採り上げて,そのメリット・デメリットを整理してみる。 |
第12回 | 市場の失敗IV:公共財 | 公共財とはどのようなものか、その提供水準をどのように決めるべきかを検討し、現実の公共財の提供についてそのメリットと問題点を解説する。
【事前準備】2時間
ミクロ経済学の教科書で公共財の条件や最適な供給方式について確認する(例えば,Krugman and Wells, chap.17)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,具体的な公共財を想定し,それをどれだけ提供すべきかを考えてみる。 |
第13回 | 市場の失敗III:不確実性と情報の不完全性(1)リスクの取引とリスク分散 | 不確実性に直面した時、リスクに対する選好が異なる主体の間でリスクを取引する誘因が生じ、リスクを分散することができるが、そのメカニズムと限界を考える。【事前学習】2時間
ミクロ経済学の教科書でリスクの取引に対する経済学的アプローチを確認しておく(例えば,Krugman and Wells, chap.20)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,不確実性の下でリスクが取引される状況を具体的に想定し,どこまでうまく不確実性を軽減できるを考えてみる。 |
第14回 | 市場の失敗III:不確実性と情報の不完全性(2)保険市場の機能 | 保険市場において情報が不完全な場合に生じる逆選択やモラル・ハザードについて説明し、社会保険として年金や医療を効率的に提供するためにはどうすれば良いかを考える。
【事前準備】2時間
ミクロ経済学の教科書等で期待効用仮説や情報の非対称性について確認する(例えば,伊藤隆敏,『公共政策入門』,第6章)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,医療保険によって医療サービスが過大に需要されているという主張に対して,自分としてどのように考えるかを整理してみる。 |
第15回 | 市場の失敗III:情報の不完全性(3)品質についての情報 | 商品やサービスの品質が分からないと人々はどのように行動し、市場での取引にどのような問題が生じるかを理解する。
【事前準備】2時間
ミクロ経済学の教科書等で財やサービスの品質が不確実な場合について確認する(例えば,伊藤隆敏,『公共政策入門』,第6章)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,実例について調べて公的規制や名声の役割などの対応策を考えてみる。
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第16回 | マクロ経済政策I:市場と安定化政策 | 現実の経済において景気や失業、インフレ等がどのように変動しているかを調べて、市場に任せておいては駄目なのか、マクロ経済政策は必要なのかを考える。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書で長期の価格が伸縮的な古典派モデルを確認する(例えば,Mankiw, chap.3)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,賃金・価格が伸縮的な場合にマクロ経済政策にどのような役割があるかないかを整理してみる。 |
第17回 | マクロ経済政策II:価格の硬直性とIS-LMモデル(1) | ケインズ経済学の枠組みにおいて、景気変動がどのようにして生じるかを解説する。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書でIS-LMモデルを確認する(例えば,Mankiw, chap.10)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,賃金・価格が硬直的伸縮的な場合に生産や雇用が変化するメカニズムを説明してみる。 |
第18回 | マクロ経済政策III:価格の硬直性とIS-LMモデル(2) | 経済変動を安定化するための財政・金融政策について理解し、様々な経済環境の変化に対応してどのようなマクロ経済政策が望ましいのかを考える。特に、投資や貨幣需要の利子率弾力性の役割について議論する。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書でIS-LMモデルにおける財政・金融政策の効果について確認する(例えば,Mankiw, chap.11)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,賃金・価格が硬直的伸縮的な場合に財政・金融政策が生産に影響を与えるメカニズムを整理してみる。 |
第19回 | マクロ経済政策VI:インフレと失業 | 短期的なフィリップス曲線を通じて景気や失業が改善するとインフレが高まるというトレード=オフがあることを理解し、この関係を利用してどのように経済安定化を目指すべきか(べきでないか)を考える。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書で短期フィリップス曲線を確認する(例えば,Mankiw, chap.13)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,賃金・価格が硬直的伸縮的な場合にインフレと経済成長をどのように両立させることができるかできないか整理してみる。 |
第20回 | マクロ経済政策Ⅴ:開放経済とマクロ経済政策 | 開放経済におけるマクロ経済政策の効果をマンデル=フレミング・モデルによって解説する。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書でIS-LMモデルを開放経済へ拡張した場合の財政・金融政策の効果を確認する(例えば,Mankiw, chap.12)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,開放経済において財政・金融政策の効果が閉鎖経済と異なる理由を整理してみる。 |
第21回 | マクロ経済政策Ⅵ:金融政策の実際 | 現実の金融政策を分析するために必要となる基礎知識(金融政策の目標、政策手段、中央銀行の独立性、貨幣創造、金利の期間構造など)を理解する。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書で貨幣市場や金融システムの役割を確認する(例えば,Mankiw, chaps.4&19)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,貨幣需要や金融システムがどのような状況の場合に金融政策の実施に問題が生じ得るかを考えてみる。 |
第22回 | マクロ経済政策Ⅶ:ケース・スタディ | 極端な経済情勢は理論や政策のロジックや有効性を明確にするものであるが、日本のバブル崩壊やリーマンショックなどを採り上げて、経済理論とマクロ経済政策についての理解を深める。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書等でIS-LMモデルを現実の不況などに適用したケース・スタディを見てみる(例えば,Mankiw, chap.11, section 3)。
【事後学習】2時間
日本経済のバブル崩壊後の長期低迷期の財政・金融政策の有効性と限界について整理してみる。 |
第23回 | マクロ経済政策Ⅷ:ミクロ経済学的視点とマクロ経済政策 | 近年、家計や企業の行動を明示的に考慮してマクロ的な経済政策を考える動きが出ているが、そうすることにより何が分かるのか、経済政策の必要性や望ましさの評価が異なるのか等について、直観的に理解する。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書でニューケインジアン・モデルを見てみる(例えば,齋藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久,『新版 マクロ経済学』,第8章)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,ミクロ経済学的な視点を導入することのメリットについて考えてみる。 |
第24回 | 成長戦略Ⅰ:経済成長のメカニズムと成長政策 | 経済成長理論を通じて経済成長のメカニズムや経済成長を促進するための方策を考える。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書でソロー・モデルを確認する(例えば,Mankiw, chap.7)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,長期の経済成長を促進するための政策のメリットとデメリットを整理してみる。 |
第25回 | 成長戦略Ⅱ:成長会計と生産性の向上策 | 成長会計を通じて生産性向上の重要性を認識するとともに、生産性向上のための方策を考える。
【事前学習】2時間
マクロ経済学の教科書で成長会計について確認する(例えば,Mankiw, chap.8)。
【事後学習】2時間
業内容を良く復習し,さらに,日本経済の生産性低迷の要因と政策対応の可能性について整理してみる。 |
第26回 | 成長戦略Ⅲ:ネットワーク産業と成長・経済政策 | ネットワークを活用して成長を遂げる企業が経済成長の鍵となっているが、同時に消費者に関する情報の独占などにより成長の成果の配分に偏りが生じる懸念もある。そうしたネットワーク企業に対する経済政策を検討する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学や公共経済学の教科書等でネットワーク産業と経済政策に関する記述がある箇所に目を通す(例えば,Tirole, chap.14)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,ネットワーク産業に対する経済政策について、現実の事例を想定して有効性を考えてみる。 |
第27回 | 成長戦略Ⅳ:産業集積と産業政策の在り方 | 規模の経済や外部経済が存在する場合、産業集積を政策的に作り出すことが経済厚生を高める場合もある。そうした産業政策の意味と陥穽を解説する。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学や公共経済学の教科書等でネットワーク産業と競争政策に関する記述がある箇所に目を通す(例えば,Tirole, chap.13)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,産業政策について、現実の事例を想定して有効性と問題点を考えてみる。 |
第28回 | 所得再分配 | 所得格差が発生するメカニズムを整理し、さらに、所得の再分配の方法のメリット・デメリットを比較し、現実の再分配政策の効果と問題点について考える。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学の教科書で所得分配に関する記述がある箇所に目を通す(例えば,Krugman and Wells, chap.18)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,どのような所得再分配政策が望ましいのか考えてみる。 |
第29回 | 政策評価の方法と実際 | 費用・便益分析など経済政策を評価するための枠組み、及び、市場が存在しない場合に財・サービスの社会的価値を計測する方法を理解する。
【事前学習】2時間
公共経済学の教科書等で費用・便益分析について確認する(例えば,金本・蓮池・藤原,『政策評価ミクロモデル』,第1章)。
【事後学習】2時間
授業内容を良く復習し,さらに,現実の費用・便益分析の事例を批判的に検討してみる。 |
第30回 | 確認試験と解説 | 通年の授業を通して学んだことの確認試験と解説を行う。
【事前学習】4時間
これまでの講義の要点を復習する。
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