講義名 中国経済論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火5
単位数 4

担当教員
氏名
曽根 康雄
崔 晨

学習目標(到達目標) 日本のマス・メディアには中国情報が氾濫しており,それゆえ真の中国像を理解するのが難しくなっている。また,日本における中国経済に対する評価の中には,現代中国の一部分のみを強調した偏ったものも少なくない。我々は,中国という国の仕組みや経済建設の経緯が日本と大きく異なることを認識した上で,現在起きている事象の本質を理解し,直面する事態と向き合っていかなければならない。この講義では,世界経済とりわけ日本経済にとって重要性が高まる中国経済の将来を個々人が考える上で,基礎となる知識の習得を目指す。
対応DP及びCP:1,2,3,4,5,8
授業概要(教育目的) この講義では,前期に①建国以来の政治経済史,②計画経済から市場経済への体制移行,を扱う。①では,建国から80年代までの中国の政治・経済の歩みを,映像資料を活用しながら講義を行う。後期は,③三農問題や環境問題などの国内経済問題,④グローバル経済の視点から主要国・地域との経済関係,を取り上げる。中国経済の背後にある歴史,社会,政治,文化など,経済と関わりのある周辺分野を含めた学際的,地域研究的なアプローチに基づいて,講義内容を構成する。グローバル経済において中国経済はどのような状況にあるのかを認識し,中国経済の今後の予測などを含めて,グローバル視点から中国経済への理解を深めることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回講義の概要年間の講義の内容,講義のルールを説明する。最近の中国の経済・社会に関するトピックを取り上げ解説する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第2回最近の中国経済動向(1)グローバル金融危機以降の中国の経済政策運営を分析する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第3回中国経済への招待(ダイジェスト)テキストを手掛かりに,中国経済を理解するための視座を検討する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第4回建国以降の中国経済史(1)建国後の土地改革から50年代の農業集団化への流れを辿り,この時期の経済政策を評価する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第5回建国以降の中国経済史(2)60年代前半の経済調整策と同後半の文化大革命期の経済運営を比較する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第6回建国以降の中国経済史(3)
対外開放政策につながる70年代の政治経済の変化を検討する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第7回建国~70年代の経済建設のまとめ
計画経済体制下の経済政策運営の評価を行う。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第8回体制移行期の中国経済(概論)「計画経済」から「市場経済」への移行のアプローチと問題点を検討する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第9回80年代の改革開放政策(1)改革開放政策の初期条件と初期の経済改革(戸別農家経営請負制,分権化)を考察する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第10回80年代の改革開放政策(2)80年代に実施された双軌制を考察し,その成果と問題点,制度改革の矛盾を検討する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第11回改革開放政策の転換(天安門事件と「南巡」)80年代末~90年代初の経済改革の停滞,90年代に入ってからの改革開放政策の新たな展開を考察する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第12回国有企業体制の創出(1950~70年代)建国以降の計画経済体制の中で形成された国有企業の特徴を考察する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第13回非国有企業の生成(1980年代~)80年代以降の改革開放政策の中で,民営企業や外資企業が現れた経緯を検討する。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第14回最近の中国経済動向(2)
中国の経済政策運営を,前期開講時点と比較して分析する。ただし,中国経済の状況に応じて,内容を多少変更することもありうる。
【事前学習】2時間
新聞および各種メディアの中国関連報道を毎日フォローする。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第15回前期の確認小テストと解説
授業を通じて学んだことの確認小テスト(60分)および解説(30分)を行う。
【事前学習】3時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
【事後学習】2時間
小テストの内容および解説をよく復習し,前期に学んだ内容のポイントを整理しておくこと。
第16回最近の中国経済動向最近中国取り巻く国内外の状況から経済情勢を概説し,今後の動向を分析する。後期の授業内容を紹介する。 【事前学習】2時間
普段関連ニュースや経済情勢を心掛け目を通すこと
【事後学習】2時間
授業内容を整理し、理解しておくこと。
第17回農業・農村・農民(三農問題)食料問題から構造問題に,さらに食料安全保障問題へと進化する農業の基本問題,いわゆる「三農問題」をとりあげ,今後の食料需要見通しを分析する。   
【事前学習】2時間
教科書の61-76ページの内容を予習すること
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第18回財政制度改革と中央―地方関係中央と地方の綱引き関係は財政資金の配分問題をどうするかについて取り上げ,中央-地方政府関係の変化を分析する。                     【事前学習】2時間
教科書の119-135ページの内容を予習すること
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第19回貧困・失業及び所得格差中国の貧困問題,都市失業を中心に失業問題及びその特徴、農村―都市の格差,地域格差をとりあげ,その要因及び中国政府の対策などを分析する。    
【事前学習】2時間
教科書の159-179ページの内容を予習すること
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第20回エネルギー問題経済の高度成長によるエネルギー需要の急増の背景やエネルギー資源の需要概況を紹介し,エネルギー資源の確保や環境汚染対策などの中国政府の政策の展開をとりあげ,現在と今後の中国のエネルギー問題について分析する。  
【事前学習】2時間
教科書の203-22ページの内容を予習すること
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第21回経済発展と多様化する環境問題中国経済の多様な側面に対応して,環境問題もまた多様であることが大きな特徴であることをとりあげ,中国政府の多様な環境問題の解決の対応策を分析し,適切な環境ガバナンスのあり方について検討する。      【事前学習】2時間
教科書の223-238ページの内容を予習すること
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し、理解しておくこと。
第22回中国経済発展と華僑華人資本華僑華人主に東南アジア華僑華人資本の概況と実力を概説し,中国の経済発展において華僑華人資本の役割及び「一帯一路」構想において華僑華人の仲介的な役割を分析する。                     【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し、理解しておくこと。
第23回「一帯一路」の構想と意義「一帯一路」構想の概念やビジョン,行動プランなどを紹介し,「一帯一路」構想の経済戦略、主要ルート及び主なプロジェクト進捗の状況,沿線国との経済関係を分析し、「一帯一路」構想の問題点を検討する。    【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第24回「中国製造2025」「中国製造2025」を打ち出す背景や内容を紹介し,世界主要国の製造業の動向,「中国製造2025」の戦略目標と方針,「中国製造2025」の重点戦略を概説し、中国の次世代デジタル産業政策や「中国製造2025」の課題を分析する。  
【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第25回日中経済関係戦後の日本経済の歩みを紹介し,日中双方の貿易と直接投資を中心に取り上げ,投資や経営の問題点を分析する。また米中貿易摩擦による日系企業への影響や「一帯一路」構想に関する日中企業の協力を分析する。   【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し、理解しておくこと。
第26回米中経済摩擦歴史上の貿易摩擦の事例をとりあげ,米中貿易の現状や米中貿易摩擦の経緯,貿易不均衡問題の余韻を分析する。米国関税の引き上げや制裁などによる米国の真意を探り,米中両国経済及び世界経済に及ぼす影響や今後の予測を検討する。                 【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第27回東南アジアに南進する中国東南アジア歴史の歩み,ASEAN(東南アジア諸国連合)設立した背景やASEAN共同体の構築などについて概説し,中国とASEAN関係の歩み、貿易と直接投資の拡大の現状を分析し,地政学からみる「一帯一路」の“一路”であると東南アジア地域の重要性,また中国対ASEAN投資の問題点などを検討する。      
【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第28回中国のアフリカ進出の拡大中国とアフリカとの関係の歩みや中国とアフリカとの貿易構造,アフリカにおける中国のエネルギー・インフラ分野への投資を取り上げる。さらに一帯一路関連の開発投資プロジェクトの進捗状況や債務など中国の対アフリカ投資の問題点を検討する。
【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解しておくこと。
第29回2050年の中国社会主義の現代化戦略や2020年~2035年の発展戦略目標,中国の産業構造(2015~2035年)をとりあげ,2050年の中国―社会主義現代化強国の全面的建設の目標及び中国のリスクなどについて分析する。      【事前学習】2時間
関連内容のニュースや経済情勢を心かけて目を通すこと
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し、理解しておくこと。
第30回授業のまとめと補足説明授業のまとめや補足説明,レポートの提出。
                         【事前学習】3時間
前期の内容を予習すること
【事後学習】2時間
授業の内容を整理し,理解して,中国経済を再確認すること。
授業形式 講義は,配布資料,パワーポイント,画像・映像資料などを用いて進める。また,足下の中国の経済・社会動向や世界経済・国際金融情勢との関係など時事問題についても,講義の中で解説を加える。授業時間内に,出欠を兼ねて,筆記課題やクイズへの回答を提出してもらうこともある。質問等のフィードバックは翌週の授業で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 40% 40% 15% 5% 100%
評価の特記事項 前期末に筆記試験(小テスト)を行う。後期末にレポートの提出を求める。出席は年に数回確認する(授業時の課題・クイズの提出などによる場合もある)。
テキスト 『現代中国経済論(第2版)』ミネルヴァ書房(2018年5月刊行)
参考文献 中国は変化のペースが非常に速いため,参考図書や資料は,講義の際にテーマに応じて適宜紹介する。現代中国経済の理解を助ける書籍としては,差し当たり下記の参考図書を紹介する。
末広昭・田島駿雄・丸川知雄編『中国・新興国ネクサス』東京大学出版社(2018年)
梶谷懐『中国経済講義:統計の信頼性から成長のゆくえまで』中公新書(2018年)
丸川知雄『現代中国経済論』有斐閣(2013年)
オフィスアワー(授業相談) 原則として火曜日5限の授業の後とする。研究室(曽根)を訪問の際は,事前にメールまたは電話などの方法でアポをとること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 新聞やテレビのニュースで中国に関する情報に対して常に注意を払うこと。毎回の授業で,その週に中国で起きた出来事についてコメントや質問を行う。
なお,授業中の私語は厳禁する。受講態度の悪い学生には退出を命じる。