講義名 ゲーム理論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金4
単位数 4

担当教員
氏名
丸田 利昌

学習目標(到達目標) 複数の意思決定者の行為が相互に影響しあう状況を戦略的環境という。ゲーム理論とは,戦略的環境の簡潔な記述,およびその特徴・本質の解明を目指して構築されている言語体系である。経済学をはじめ社会科学における「モデル」の多くは,ゲーム理論により記述された戦略的環境に他ならない。本講義は,初学者が言語としてのゲーム理論の「読み・書き」ができるようになることを目指す。これを言い換えると,ゲームとしてモデル化された様々な社会的事象に対し,「均衡分析」を適用することによってその戦略的相互依存関係の在り方を取り出すことができるようになるということである。対応DP及びCP:2,3,4,5,8
授業概要(教育目的) 本講義は,初等レベルのゲーム理論を解説する。「価格競争」「交渉問題」「規範の形成」「オークション」「立地選択」「参入阻止」「協力関係の構築」「情報の伝達」などを題材に,ゲーム理論の分析枠組みである「戦略型ゲーム」「展開型ゲーム」,またそれらにおける各種の均衡の理解を目指す。それらの適切な理解のために,「戦略とは何か」「最適な行動とはどのような行動か」といった論点に特に留意して考察を進めて行く。講義内容を習得することにより,独自の分析ができるチカラを身に着けてもらいたい。なお,要求される数学の能力は中学数学程度である。特に,微積分は必要なし。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション講義内容・形式・評価などにつての説明に引き続き,ゲーム理論を最も簡単に紹介する。
【事前学習】教科書第1章を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書第1章を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第2回はじめてのゲーム理論ゲーム理論とは?戦略的相互依存関係とは?事例を通じて学習する。
【事前学習】EcoLink配信の講義資料(以下,講義資料)の「Introduction to Game Theory」を通読しよう。(2時間)
【事後学習】講義資料該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第3回利得表と戦略型ゲーム2人戦略型ゲームの表現形式である利得表の読み方に習熟する。
【事前学習】教科書第3章1節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第4回ナッシュ均衡ゲーム理論の中心概念であるナッシュ均衡とその求め方について学ぶ。
【事前学習】教科書第4章1節~3節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第5回戦略間の支配関係戦略型ゲームの様々な応用と,戦略間の支配関係について学習する。
【事前学習】教科書第4章5節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第6回オークションのゲーム分析戦略型ゲームの応用として,オークションの初等的分析を行う。
【事前学習】教科書第3章5節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第7回問題演習これまでの各主題について,練習問題を通じて理解の定着を図る。
【事前学習】教科書第3章第4章の章末問題に取り組もう。(2時間)
【事後学習】練習問題への自分の解答と模範解答を比較し,正しい理解が得られたか確認しよう。(2時間)
第8回ゲームの木と展開型ゲーム時間の流れの中で行動が実行されていく様をあらわすのが「ゲームの木」である。それによって表現される展開型ゲームの学習にとりかかる。
【事前学習】教科書第6章1節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第9回展開型ゲームとバックワードインダクション展開型ゲームを導入する。展開型ゲームの「解法」であるバックワードインダクションについて学ぶ。
【事前学習】教科書第6章2節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第10回展開型ゲームと戦略展開型ゲームにおける戦略とは何かを学ぶ。また,ゲーム理論の核心に関わるプレイパス・オフパスについても考察する。
【事前学習】講義資料「展開型ゲーム」該当部を通読しよう。(2時間)
【事後学習】講義資料該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第11回展開型ゲームと情報集合 I展開型ゲームの「途中」において,各プレイヤーは何を知って(見て)いて,何を知っていない(見ていない)のか。それを表現する方法としての情報集合を学ぶ。
【事前学習】教科書第6章3節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第12回展開型ゲームと情報集合 IIさまざまな形の情報集合を考察することにより,情報集合の表現力を見極める。また,戦略とは何かについて再考する。
【事前学習】教科書第6章4節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第13回展開型ゲームと部分ゲーム完全均衡展開型ゲームにおけるナッシュ均衡とその特別な場合である部分ゲーム完全均衡について学ぶ。
【事前学習】教科書第6章5節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第14回問題演習これまでの各主題について,練習問題を通じて理解の定着を図る。
【事前学習】教科書第6章の章末問題に取り組もう。(2時間)
【事後学習】練習問題への自分の解答と模範解答を比較し,正しい理解が得られたか確認しよう。(2時間)
第15回(小テスト)(中間試験)中間試験をopen book (すべての紙資料持ち込み可)で行う。
【事前学習】これまでの練習問題を振り返ろう。(2時間)
【事後学習】中間試験への自分の解答と模範解答を比較し,正しい理解が得られたか確認しよう。(2時間)
第16回復習春学期に学んだ事柄を思い出すため,練習問題に取り組む。
【事前学習】教科書・講義資料,春学期に議論した部分を復習しよう。(2時間)
【事後学習】練習問題への自分の解答と模範解答を比較し,正しい理解が得られたか確認しよう。(2時間)
第17回繰り返しゲーム I協力関係の構築についてのゲーム理論的分析手法である繰り返しゲームについて学ぶ。
【事前学習】教科書第7章1節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第18回繰り返しゲーム II繰返しゲームについての重要な結果であるフォーク定理
について学ぶ。
【事前学習】教科書第7章2節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第19回不完備情報とベイズ的接近Ⅰ利得について何らかの不確実性があるゲームを考える標準的手法である,ベイズ的接近について学ぶ。まず,その基本的考え方を理解する。
【事前学習】講義資料「不完備情報」該当部を通読しよう。(2時間)
【事後学習】講義資料該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第20回不完備情報とベイズ的接近Ⅱ不完備情報,ベイズ的接近,そして展開型ゲームにおける情報集合との関係について学ぶ。
【事前学習】講義資料「不完備情報」該当部を通読しよう。(2時間)
【事後学習】講義資料該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第21回不完備情報ゲームと完全ベイズ均衡Ⅰベイズ的接近に基づき構築されたゲームとしての不完備情報ゲームを学ぶ。まずは,ゲームの木の「読み方」からはじめる。
【事前学習】教科書第8章1節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第22回不完備情報ゲームと完全ベイズ均衡Ⅱ不完備情報ゲームを考察する際の標準的な均衡概念として,完全ベイズ均衡を学ぶ。
【事前学習】教科書第8章2節3節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第23回シグナリング・ゲーム I不完備情報ゲームの応用例として,労働市場におけるシグナリング・ゲームを考察する。
【事前学習】教科書第8章4節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第24回シグナリング・ゲーム II不完備情報ゲームの応用例として,シグナリング・ゲームを考察する。前回のモデルの様々なバリエーションを考察する。
【事前学習】復習のため,教科書第8章4節を再度通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第25回シグナリング・ゲーム III不完備情報ゲームの応用例として,シグナリング・ゲームを考察する。労働市場以外の応用例や,より一般の場合を考える。
【事前学習】講義資料「完全ベイズ均衡」該当部を通読しよう。(2時間)
【事後学習】講義資料該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第26回交渉ゲーム I交渉に対する様々なゲーム論的接近を紹介する。その中から,特に交互提案交渉ゲームに注目する。
【事前学習】教科書第9章1節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第27回交渉ゲーム II交互提案交渉ゲームの均衡分析を行う。
【事前学習】教科書第9章4節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第28回上級(?)ゲーム理論ゲーム理論の進んだ話題として,均衡の精緻化,均衡選択,進化ゲーム理論を紹介する。
【事前学習】教科書第11章1節を通読しよう。(2時間)
【事後学習】教科書該当部を通読し,事前の読みがどのように更新されたかを確認しよう。(2時間)
第29回問題演習これまでの各主題について,練習問題を通じて理解の定着を図る。
【事前学習】教科書第9章の章末問題に取り組もう。(2時間)
【事後学習】練習問題への自分の解答と模範解答を比較し,正しい理解が得られたか確認しよう。(2時間)
第30回(講義内テストと解説)(期末試験)期末試験をopen book (すべての紙資料持ち込み可)で行う。
【事前学習】これまでの練習問題を振り返ろう。(2時間)
【事後学習】期末試験への自分の解答と模範解答を比較し,正しい理解が得られたか確認しよう。(2時間)
授業形式 指定した教科書とEcoLink配信の講義ノートを教材とする,講義形式。質問等のフィードバックは翌週の講義で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
70% 0% 30% 0% 0% 100%
評価の特記事項 「出席点」はゼロ.定期試験,小テスト(中間テストのこと)ともに,open book で行う。
テキスト 岡田章,『ゲーム理論・入門』,有斐閣,2014年, 1,900円(税抜).
参考文献 加茂他,『ゲーム理論ワークブック』,有斐閣,2015年, 1,900円(税抜). その他は,適宜指示する。
オフィスアワー(授業相談) 火曜日15:00~16:00.事前に電子メールでアポイントメントをとること。メールアドレスは,開講時に指示する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 継続的な事前学習・事後学習を期待する。