講義名 企業経済学Ⅱ ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 火4
単位数 2

担当教員
氏名
権 赫旭

学習目標(到達目標) 本講義では、企業が抱えている諸問題を正しく分析するためのミクロ経済学Iとミクロ経済学IIの基本的な概念を正確に理解し,企業の諸問題の分析に当てはめ, 解決策を導き出すことができるようになることを目標とする。また、現実の企業を標準的な新古典派の生産者理論では十分に説明できない部分について様々な企業理論を用いて実際の企業について説明するため、論理力や説明力を高めることができる。
対応DP及びCP:1, 3, 4, 5, 8
授業概要(教育目的) 本講義では、「市場」について学ぶミクロ経済学Iと「市場の不完全性」によって発生する問題を取り扱うミクロ経済学IIをベースにして、私的な売買を自由にできる「市場経済」の中で、中央計画的な組織である企業に関する経済理論について説明する。授業を通じて、市場の中に企業がなぜ存在し、その比重が高まっているのかについて理論的に説明できるようになる。
授業計画表
 
項目内容
第1回ミクロ経済学の基礎理論企業経済学IIを学習するために必要なミクロ経済学理論を基礎を復習する。


【事前学習】2時間
ミクロ経済学I、ミクロ経済学IIの生産者理論と市場構造について復習すること。

【事後学習】2時間
授業で示された練習問題を通じて内容をもう一回確認すること。


第2回新古典派の企業理論ミクロ経済学で学習した生産者理論と関連付けながら簡略に説明する。

【事前学習】2時間
ハート著『企業、契約、金融構造』1章1節を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、ミクロ経済学Iで学んだ生産者理論について復習しておくこと。

第3回契約理論(Contract theory)の基礎(1)企業理論を理解するために必要な契約理論の基礎的な概念である逆選択(Adverse selection)について説明する。


【事前学習】2時間
ミクロ経済学IIの情報経済学の部分を復習すること。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Akerlof (1970) "The Market for "Lemons": Quality Uncertainty and the Market Mechanism,"Quarterly Journal of Economics, 84,3, 488-500を読んで整理しておくこと。
第4回契約理論(Contract theory)の基礎(2)企業理論を理解するために必要な契約理論の基礎的な概念であるモラル・ハザード(Moral hazard)について説明する。

【事前学習】2時間
ミクロ経済学IIの情報経済学の部分を復習すること。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Eisenhardt(1989) "Agency Theory: An Assessment and Review," Academy of Management Review, 14, 1, 57-74.を読んで整理しておくこと。
第5回取引費用理論(Transaction cost theory)(1)企業の存在する理由を説明する理論の一つである取引費用理論について説明する。


【事前学習】2時間
コース著『企業・市場・法』の2章を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、ハート著『企業、契約、金融構造』1章3節を読んで整理しておくこと。
第6回取引費用理論(Transaction cost theory)(2)企業の存在する理由を説明する理論の一つである取引費用理論を現実の事例に適用して説明する。

【事前学習】2時間
Coase(2000) "The Acquisition of Fisher Body by General Motors," Journal of Law and Economics, 43, 15-32.を読んで整理しておくこと。

【事後学習】1時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、浅沼万里(1984)「日本における部品取引の構造⊸自動車産業の事例⊸」京都大学経済学部経済論叢、133、3、241-262.をアメリカのケースと比較しながら読んで整理しておくこと。
第7回インセンティブ・システム理論(Incentive system theory)(1)企業の存在する理由を説明する理論の一つであるインセンティブ・システム理論について説明する。

【事前学習】2時間
契約理論の基礎(2)で読んで整理したEisenhardt(1989) "Agency Theory: An Assessment and Review," Academy of Management Review, 14, 1, 57-74.を復習しておくこと。


【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Gibbons(1998)"Incentives in Organizations," Journal of Economic Perspectives, 12,4, 115-132.を読んで整理しておくこと。
第8回インセンティブ・システム理論(Incentive system theory)(2)企業の存在する理由を説明する理論の一つであるインセンティブ・システム理論を現実の事例に適用して説明する。

【事前学習】2時間
Coase(2000) "The Acquisition of Fisher Body by General Motors," Journal of Law and Economics, 43, 15-32.について整理したことをインセンティブ理論の観点から復習しておくこと。


【事後学習】3時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、ミルグロム・ロバーツ(1997)『組織の経済学』の第7章、8章、9章を読んで整理しておくこと。
第9回所有権理論(Property rights theory)(1)企業の存在する理由を説明する理論の一つである所有権理論について説明する。

【事前学習】2時間
ハート著『企業、契約、金融構造』2章を読んでおくこと。


【事後学習】3時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Aghion and Holden (2011) "Incomplete Contracts and the Theory of the firm: What Have We Learned over the Past 25 Years,"Journal of Economic Perspectives, 25,2, 181-197.を読んで整理しておくこと。
第10回所有権理論(Property rights theory)(2)企業の存在する理由を説明する理論の一つである所有権理論を現実の事例に適用して説明する。

【事前学習】2時間
Coase(2000) "The Acquisition of Fisher Body by General Motors," Journal of Law and Economics, 43, 15-32.について整理したことを所有権理論の観点から復習しておくこと。


【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、菊澤(1997)「日米独企業組織の所有権理論分析 : 日本型組織の効率性と外部性」日本経営学会誌、1巻、13-22を読んで整理しておくこと。
第11回経営資源理論(Resource based theory)(1)企業の存在する理由を説明する理論の一つである経営資源理論について説明する。

【事前学習】2時間
Barney (1991) "Firm Resources and Sustained Competitive Advantage,"Journal of Management, 17, 99-120を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、小松(2011)「半導体製造における統合と分業の選択:取引費用理論と資源ベース理論に基づく実証分析」『組織科学』、45、87-100.
第12回経営資源理論(Resource based theory)(2)企業の存在する理由を説明する理論の一つである経営資源理論を現実の事例に適用して説明する。

【事前学習】2時間
Coase(2000) "The Acquisition of Fisher Body by General Motors," Journal of Law and Economics, 43, 15-32.について整理したことを経営資源理論の観点から復習しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Lieberman and Dhawan (2005) "Assessing the Resource Base of Japanese and US Auto Producers: Stochastic Frontier Production Function Approach," Management Science,51,1015-1164.を読んで整理しておくこと。

第13回進化論的理論(Evolutionary theory)(1)企業の存在する理由を説明する理論の一つである進化論的理論について説明する。

【事前学習】2時間
Nelson and Winter(2002) "Evolutionary Theorizing in Economics," Journal of Economic Perspectives, 16, 23-46.を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、青島(2017)「デジタル技術の進歩がもたらした産業変化 製品概念の崩壊」『一橋ビジネスレビュー』SPR.32-43.を読んで整理しておくこと。
第14回進化論的理論(Evolutionary theory)(2)企業の存在する理由を説明する理論の一つである進化論的理論を現実の事例に適用して説明する。


【事前学習】2時間
Coase(2000) "The Acquisition of Fisher Body by General Motors," Journal of Law and Economics, 43, 15-32.について整理したことを進化論的理論の観点から復習しておくこと。

【事後学習】2時間
山口(2004)「イノベーションの構造:パラダイム破壊型イノベーションとは何か」同志社大学ITEC Research Paper Series 4.3.を読んで整理しておくこと。
第15回期末試験と解説期末試験を通じて、授業の全体内容を確認し、問題を解説する。
授業形式 基本的に講義形式で行う。質疑応答を通じて理解度を確認し、授業内で十分に応答できなかった質問等のフィードバックは、翌週の講義で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
50% 0% 0% 30% 20% 100%
評価の特記事項 3回以上欠席、私語等授業態度が悪く、授業内容をノートに取らない場合に単位を落とす可能性がある。
テキスト 特になし
参考文献 オリバー・ハート『企業、契約、金融構造』、2010、慶應義塾大学出版会、3456円
ロナルド・コース『企業・市場・法』、1992、東洋経済新報社、1860円
ポール・ミルグロム、ジョン・ロバーツ『組織の経済学』、1997、NTT出版、5940円
オフィスアワー(授業相談) 毎週火曜日の9時から11時まで、事前にメール(kwontokyo@gmail.com)を通じて、アポイントを取ってください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ ミクロ経済学I、IIの内容を復習してほしい。