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学習目標(到達目標) |
「ミクロ経済学Ⅰ」では,市場を構成する家計や企業といった各経済主体の選択行動の基礎理論と,市場メカニズムについて学ぶ。この講義を通じて,(1)ミクロ経済学において最低限必要な「基礎知識」を習得し,(2)「分析手法」を身に付け,(3)「経済学的な考え方」を理解できるようになる。
対応DP及びCP:1,2,3,4,5,8 |
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授業概要(教育目的) |
「ミクロ経済学Ⅰ」は完全競争市場における経済主体の行動,市場メカニズム,資源配分の効率性に関する問題の学習を主とする。また,この授業はミクロ経済学Ⅱ及びその他の経済系科目の学習に必要な基礎を付けるのも目的の1つであり,講義範囲は共通テキストの1章~6章とする。
定期試験で実施される共通試験が,評価の50%となる。
共通試験は,下記の共通テキストの1章~5章を範囲とする。但し,除く部分は下記の通りとする。
① 各Column
② P.24~31 「4 簡単な応用例」
③ P.112~124 「4 効率性の基準:パレート最適」から「6 完全競争経済とパレート最適」まで
なお,講義範囲が共通試験範囲を超える部分の扱いについては各担当教員のシラバスに従う。また,「ミクロ経済学Ⅱ」の履修は「ミクロ経済学Ⅰ」の単位取得を前提としている。また,他の経済系科目と基礎となるため早期に単位取得が望ましい。高校までの数学の基礎知識の復習を強く勧める。 |
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授業計画表 |
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回 | 項目 | 内容 |
第1回 | イントロダクション
| この講義の概要と受講についての留意点, 評価の方法等について説明する。
経済活動とはどのようなものか, 経済学を理解する上で重要な概念を説明する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから講義ノートをダウンロードし, 読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し, 授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
【キーワード】トレード・オフ, インセンティブ, 情報の完全性 | 第2回 | 第1章ミクロ経済学を学ぶとは | 現代社会における経済の仕組や機能, さまざまな経済行動や経済現象を理解するために必要な経済用語を学ぶ。そして経済活動の意志決定単位の機能と相互関係について解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.1-12を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第2回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】市場(しじょう), 希少性, 実証と規範, 見えざる手 | 第3回 | 第2章 需要と供給
①市場の需要・供給 | 経済主体の合理的な行動とはどのようなものかを説明する。価格と需要の関係を消費者の意志決定の問題としてとらえ, 需要曲線の意味するところを解説する。さらに価格と供給の関係を企業の供給行動との関係でとらえ, 供給曲線の意味するところを解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.13-19を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第3回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】機会費用, サンクコスト, 需要曲線, 供給曲線 | 第4回 | 第2章②需要と供給の価格弾力性 | 価格弾力性という概念を説明する。
価格の変動が需要量や供給量に与える影響の度合いは, 財の種類によって異なることにも言及する。
【事前学習】2時間
テキストp.19-22を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第4回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】価格弾力性, 弾力的, 非弾力的 | 第5回 | 第2章③市場の均衡 | 市場均衡を回復させる価格調整メカニズムについて説明する。
【事前学習】2時間
テキストp.22-26を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第5回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】均衡, 超過需要, 超過供給, 価格調整メカニズム | 第6回 | 第2章 演習 | 「豊作貧乏」が生じる仕組を説明する。その後, 第2章の内容に関する練習問題を出題し, 解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.13-32, 第2回〜第5回の講義ノートを見直すこと。
【事後学習】2時間
本日の練習問題を復習すること。
【キーワード】豊作貧乏
| 第7回 | 第3章 家計の消費行動
①家計の予算制約 | 財, サービス市場の需要の背景にある家計の消費選択行動を明らかにするために, 家計の消費支出面における制約条件を解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.33-37を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第7回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】予算線 | 第8回 | 第3章②効用と無差別曲線 | 家計は予算制約の範囲内で消費選択を行うわけだが, 最終的にどの点を選ぶのかは, 家計の消費に関する選好(好み)に依存する。その選好の強さをあらわす効用について説明する。
【事前学習】2時間
テキストp.37-43を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第8回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】効用, 無差別曲線, 限界代替率 | 第9回 | 第3章③最適消費の決定 | 家計にとって購入可能な財の範囲は予算線で与えられ, 家計の消費選好は無差別曲線によって表されることをみてきた。今回は, 両者を結びつけることにより, 家計の最適な消費選択行動を明らかにする。
【事前学習】2時間
テキストp.43-46を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第9回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】効用最大化, 最適消費の条件, 貨幣の限界効用 | 第10回 | 第3章④所得と消費 | ある一定の所得と所与の財価格のもとで, 家計は各財の消費購入量をいかに決定するのかを見てきた。第10回と第11回にわたって, 家計の所得の変化が, 消費決定に与える影響を考える。
【事前学習】2時間
テキストp.46-51を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第10回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】所得−消費曲線, 正常財(上級財) | 第11回 | 第3章④所得と消費 | 前回に続き, 所得の変化が家計の消費に与える影響を考察する。財の需要量の変化が財の種類によって異なることを解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.46-51を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第11回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】需要の所得弾力性, エンゲル曲線, 劣等財(下級財) | 第12回 | 第3章⑤価格と消費 | 価格の変化が家計の消費決定にどのような影響を与えるのかを検討する。ここでは, 家計の所得と消費選好の状態, およびY財の市場価格は一定として, X財の市場価格が変化したときに, 家計の最適な消費選択がどのように変化するのかを検討する。
【事前学習】2時間
テキストp.51-55を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第12回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】価格−消費曲線, 代替効果, 所得効果 | 第13回 | 第3章⑥交差効果 | 第12回の講義に続き, ギッフェン財について解説する。これまでは, X財の価格変化がX財の需要量に及ぼす影響を説明してきたが, ここでは, Y財の需要量に与える「交差効果」について解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.55-57を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第13回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】ギッフェン財, スルツキー方程式, (粗)補完財, (粗)代替財 | 第14回 | 第3章 演習 | 第3章の内容に関する練習問題を出題し, 解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.33-60, 第7回〜第13回の講義ノートを見直しておくこと。
【事後学習】2時間
本日の練習問題を復習すること。
| 第15回 | 理解度の確認(1) | ここまでの講義内容の理解度を確認するための練習問題を行い、その後解説を行う。
【事前学習】2時間
テキストp.1-60、第1回〜第13回の講義ノートを見直すこと。第2章と第3章の演習問題の復習をしておくこと。
【事後学習】2時間
本日のプリントを復習し,練習問題をすべて解けるようにすること。
| 第16回 | 第4章 企業の供給行動
①生産関数 | 企業は労働や資本などの生産要素を投入して生産物あるいは財を産出し, それを販売するという活動を行っている。第4章では, 利潤最大化を目指す企業の経済活動を解説する。まず, 生産要素の投入と生産物の産出との関係を考える。
【事前学習】2時間
テキストp.61-65を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第16回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】可変的インプット, 固定的インプット, 生産関数, 平均生産物, 限界生産物 | 第17回 | 第4章②等産出量曲線 | 労働と資本を共に可変的インプットとして, 生産要素の投入と生産物の産出との関係を検討する。
【事前学習】2時間
テキストp.65-69を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第17回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】等産出量曲線, 技術的限界代替率, 規模に関する収穫 | 第18回 | 第4章③等費用線 | 企業が利潤を最大にするために, 一定の生産量をいかにして最小の費用で産出するか, あるいは一定の費用でいかにして最大の産出量を産み出すのかを考える。最も効率的な生産要素の投入がどのように決まるのかを解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.69-72を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第18回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】等費用線 | 第19回 | 第4章④企業の拡張経路 | 目標とする生産水準が変化したり, 支出される費用が変化した場合, 生産要素の最適投入はどのように変化するのかを考察する。
【事前学習】2時間
テキストp.72-73を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第19回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】拡張経路 | 第20回 | 第4章⑤短期費用 | 生産と費用の関係を考える。ある生産要素の投入は変化するが, 他の生産要素の投入は変化しないという短期の視点から費用関数を解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.74-79を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第20回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】短期, 総費用, 固定費用, 可変費用, 平均費用, 限界費用 | 第21回 | 第4章⑥長期費用 | すべての生産要素の投入を変化させることができる長期という視点から費用関数を解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.79-83を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第21回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】長期 | 第22回 | 第4章⑦利潤最大化 | ここでは, 企業の収入についての分析を行ったうえで, 収入と費用との関係から利潤最大化の条件を導き出し, 最適生産量がどのような水準に決まるのかを考える。
【事前学習】2時間
テキストp.83-89を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第22回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】完全競争, プライス・テイカー, 総収入, 平均収入, 利潤 | 第23回 | 第4章⑧短期と長期の供給曲線 | 短期と長期の両面から価格と最適生産との関係を取り上げる。価格の変化に応じて最適生産も変化するが, これらの関係が供給曲線として捉えることができるということを解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.89-94を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第23回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】損益分岐点, 操業停止点, 長期均衡 | 第24回 | 第4章 演習 | 第4章の内容に関する練習問題を出題し, 解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.61-95, 第16回〜第23回の講義ノートを見直しておくこと。
【事後学習】2時間
本日の練習問題を復習すること。
| 第25回 | 第5章 完全競争市場と効率性
①完全競争市場 | 完全競争市場の意味を厳密に定義して, 完全競争市場において需要と供給がどのように形成され, そして市場均衡がどのように達成されるのかを説明する。
【事前学習】2時間
テキストp.97-101を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第25回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】完全競争, 市場需要曲線, 市場供給曲線 | 第26回 | 第5章②市場均衡の安定性 | 市場均衡に至る調整過程について詳しく検討する。市場の調整過程としてどのようなメカニズムが考えられるのか, さらに, どのような条件が満たされるときに市場均衡の達成が保証されるのかを解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.101-108を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第26回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】ワルラス的調整過程, マーシャル的調整過程 | 第27回 | 第5章③経済余剰 | 市場取引から発生する利益を広く「経済余剰」というが, その経済余剰について解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.108-112を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第27回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】消費者余剰, 生産者余剰, 総余剰 | 第28回 | 第5章④パレート最適 | 一般均衡分析の枠組みのもとで, パレート最適な資源配分とは何か, またどのような条件が満たされる状態を指しているのかを解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.112-117を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第28回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】パレート最適, 契約曲線, エッジワース・ボックス | 第29回 | 第5章 演習 | 第5章の内容に関する練習問題を出題し, 解説する。
【事前学習】2時間
テキストp.97-117, p.125, 第25回〜第28回の講義ノートを見直しておくこと。
【事後学習】2時間
本日の練習問題を復習すること。
| 第30回 | 理解度の確認(2) | 全ての講義範囲の総復習を行う。
【事前学習】3時間
テキストp.1-125,すべての講義ノートを見直すこと。第2章, 第3章, 第4章, 第5章の演習問題を復習すること。
【事後学習】3時間以上
本日のプリントを含め, 本講義の全範囲を復習し定期試験に備えること。
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授業形式 |
・講義形式で行う。
・課題に関してのフィードバックは原則として授業中に行う。
・講義ノートをEcoLinkにアップロードするので, 各自印刷して講義に持参すること。 |
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評価方法 |
定期試験
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レポート
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小テスト
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授業への
参画度
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その他
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合計
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90% |
0% |
0% |
10% |
0% |
100% |
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評価の特記事項 |
定期試験(60分)で, 共通試験と個別試験が同時に実施される。成績評価については, 50%は共通試験, 残り50%のうち40%は定期試験での個別試験, 10%は授業への参画度によって総合的に評価する。 |
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テキスト |
嶋村紘輝・佐々木宏夫・横山将義・片岡孝夫・高瀬浩一著『入門ミクロ経済学』,中央経済社, 2002年, 3200円(税抜). |
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参考文献 |
井堀利宏『入門ミクロ経済学 第2版』, 新世社, 2004年, 2950円(税抜).
西村和雄『ミクロ経済学』, 岩波書店, 2012年, 2800円(税抜).
ジョセフ・E. スティグリッツ『ミクロ経済学 第4版』, 東洋経済新報社, 2013年, 3800円(税抜).
竹内信仁・森田雄一『スタンダード ミクロ経済学』, 中央経済社, 2013年, 2400円(税抜).
など。 |
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オフィスアワー(授業相談) |
授業時に指示します。 |
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事前学習の内容など,学生へのメッセージ |
各回の講義内容に対応した事前学習をして, 講義に出席して下さい。
また, 授業後は講義ノートを見直し, 計算問題などは何度も自分で解き直してみて下さい。積み重ねが大切な科目ですから事後学習としての復習は怠らないで下さい。本講義は, 今後履修する様々な専門科目の基礎となる科目です。 講義への積極的・継続的な出席を希望します。 |
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