講義名 地方財政論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火3
単位数 4

担当教員
氏名
中垣内 隆久

学習目標(到達目標) 地方財政論は財政学のうち、私達により身近な地方財政にフォーカスをあてたものです。公務員志望者のみならず、主権者たる住民にとっても必要な学問ですが、関連制度の理解が前提であるため、基礎的な概念や用語の習得に重きを置く必要があります。

その観点から、例えば次の学習目標を達成することを目標とします。
・地方財政に関する新聞や雑誌の記事に関して大意を理解し、自分の意見が述べられる。
・「我が国の地方財政の現状と課題は何ですか」と問われた時に、手短に答えられるようにする。
授業概要(教育目的) 本講義では、テキストに基づき、地方財政を理解する上での基本的な概念や用語について解説します。

財政は法令などの制度に基づいて運営されますので、法学や行政学に関する知識が必要になることもあります。とっつきにくいかもしれませんが、丁寧に補足説明を行いたいと思います。

概念や用語については、なるべくイメージをもって理解をしてもらうため、抽象的な説明だけではなく、国家・地方公務員としての実務経験を踏まえ、ニュースやトピック、過去のエピソードなども適宜用いたいと考えています。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション
"講義の内容、講義の形式、評価方法、履修上の注意点について説明する。
地方財政が我々にとって身近なテーマであることを説明する。
担当教員の自己紹介を行う。
【事前学習】2時間 「夕張市」「財政」「行政サービス」という複数キーワードでの検索結果のいずれかの記事に目を通す。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。

"
第2回現代財政と地方財政(地方財政論の意義・政府の経済活動)
"地方財政論を学ぶ意義と、政府の役割として市場の失敗の是正や適正な資源配分が重要であることを説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第3回現代財政と地方財政(地方政府の役割)
"政府には国(中央政府)と地方公共団体(地方自治体、地方政府)と2種類あるが、そのように重層的な構造になっているのはなぜかを説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第4回現代財政と地方財政(我が国の地方財政)
"我が国の地方財政の特徴を説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第5回予算制度と経費の膨張(予算とは何か)
"予算制度を説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第6回予算制度と経費の膨張(地方の経費構造・地方財政計画)
"様々な角度から地方(※)の歳出構造を説明する。また、地方政府全体の歳入・歳出の総額の見込み額である地方財政計画(国が作成する)について説明する。
(※)個々の地方自治体ではなく、地方自治体の集合体であることを強調したいときに「地方」という用語を用いる場合がある。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第7回予算制度と経費の膨張(地方経費膨張の理論・予算制度の改革論)
"地方の経費はなぜ膨張するのかを説明する。また、予算制度の課題と改革案を説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第8回地方政府の現代的機能(私的財と公共財・公共財の効率的供給)
"地方政府の経済活動が公共財の概念を基準としてどのように把握されるかを説明する。また、効率的な公共財の供給水準はどのように決定されるかについての議論を説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第9回地方政府の現代的機能(地方政府が存在する理論的根拠)
"なぜ地域の人々の選好に従って、地方政府が公共サービスを地域ごとに供給するのが望ましいのだろうかなど、地方政府の存在意義について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第10回地方政府の現代的機能(現物給付と所得再分配)
"伝統的な議論では所得再分配は中央政府が担うべき機能とされているいっぽう、現代の地方政府が実際には現物給付や準私的財の供給を通じて所得再分配を行っているのはなぜかについて説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第11回教育と機会均等
"現物給付の一例である教育サービスについて説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第12回医療・介護とリスク分散
"現物給付の一例である国民健康保険と介護保険について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第13回福祉と所得再分配
"現物給付の一例である生活保護等について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第14回小テスト(前期)
公共投資(建設事業)
【小テスト(20分程度)の後、講義を行う】
"第11回から第13回まではいわゆるソフト関連の現物給付について述べたが、この回は、道路・都市公園などいわゆるハードの公共財の供給について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第15回確認試験と解説
授業を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
第16回地方税の体系(地方税の類型・地方税原則)
"租税にはどのような類型があり、その組み合わせがいかなる意味を持つのかを説明する。また、地方税が固有に備えるのが望ましいとされる課税原則について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第17回地方税の体系(代表的な地方税・課税自主権)
"代表的な地方税の税目について課税要件を説明する。また、地方政府が法律の規定とは異なる税目・税率を独自に決定・課税する裁量権について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第18回税源配分の理論(地方税の位置づけ・望ましい地方税・財政外部性)
"中央政府と地方政府とにどのような税を割り当てるのが望ましいかについて説明する。次に、第16回で説明したものとは異なる観点から、地方税として特に備えなければならない性質について説明する。第三に、地方政府が独自に行動することが全体として非効率性を生み出すという現象(財政外部性)について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第19回税源配分の理論(資産課税と所得課税・消費課税と法人課税)
"第16回では地方税の税目の実際について説明したが、この回では、地方税の原則から個別の税目について解説する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第20回特定補助金の理論と応用(補助金のタイプ・補助金に関する分析的問題)
"中央政府から地方政府へ交付される特定補助金(使途が特定された補助金)の類型を説明する。また、特定補助金が地方政府の財政運営に与える影響について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第21回特定補助金の理論と応用(補助金の意義と弊害・補助金改革論)
"中央政府が特定補助金を交付する根拠と問題点について説明する。また、問題点を受けて論じられている改革論について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第22回地方財政調整制度(入門・財政調整制度の理論的根拠)
"地方自治体間の財政力格差を緩和するための地方財政調整制度の様々な類型について説明する。また、その制度の存在意義に関する理論的な説明を紹介する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第23回地方財政調整制度(地方交付税の仕組み・政策的な諸問題)
"我が国の地方財政調整制度である地方交付税制度について問題点とともに説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第24回地方債制度と市場(地方債の財政的側面・金融的側面・発行根拠)
"公債とは政府によるいわば借金である。この回ではまず、地方政府の借金である地方債について、財政的つまり制度的な側面から説明する。次いで、地方債は金融市場からの資金調達であることに着目し、金融的な側面から説明する。第三に、地方債を発行する理論的根拠について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第25回地方債制度と市場(地方債をめぐる環境)
"近年の地方債市場の現状と地方財政の健全化の仕組みについて説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第26回地方政府の準企業活動(地方公営企業・自然独占と政府の役割・地方公営企業の会計制度)
"地方政府が経営している(例えば都営の)地下鉄・バス、上下水道は、原則として料金収入によって運営されている、独立採算的な準企業活動といえる。その活動主体を地方公営企業と総称するが、その経営原則と、地方政府が経営する理由を説明する。あわせて、活動に企業性が求められる地方公営企業の会計基準の在り方について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第27回地方政府の準企業活動(第3セクター)
"政府(第一セクター)が行うべき事業に民間部門(第二セクター)の資金や経営力を導入することを目的に、政府と民間企業の共同出資で設立される事業体を第三セクターという。第三セクターはそれなりの存在意義を持ってはいるが、問題点も指摘されている。この回では第三セクター等をめぐる状況と議論を説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第28回地方財政と分権改革(分権改革の潮流・我が国における分権改革の歩み)
"国と地方の財政関係は、国から地方への権限移譲つまり地方分権改革とワンセットで見直しが進められている。この回では地方分権改革のトレンドが進行してきた背景と我が国における経緯について説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第29回小テスト
地方財政と分権改革(外部環境と内在的要因・分権改革のプロセス)
【小テスト(20分程度)の後、講義を行う】
"地方分権改革は政治のステージで決定されるため、その実現には往々にして理論的な正しさ以外の要素が求められる。我が国の地方分権改革が進んだ背景にある内外の状況とプロセスについて説明する。
【事前学習】2時間 テキストの該当部分のうち意味の見当がつかないキーワード(太字で表示)について調べておく。
【事後学習】2時間 授業内容をよく復習する。"
第30回確認試験と解説
授業を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
授業形式 講義形式で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
90% 0% 10% 0% 0% 100%
評価の特記事項 ・評価点の配分は、小テスト10点(各期5点)、確認テスト90点(各期45点)とする。(主に択一式)
・定期試験の出題範囲は、おおむね教科書の記載内容である。
テキスト 持田信樹著、「地方財政論」、東京大学出版会、2013年、2800円(税抜).
参考文献 NHKスペシャル取材班著、「縮小ニッポンの衝撃」 講談社、2017年、740円(税抜)


オフィスアワー(授業相談) 毎週水曜16時~。事前にメールかecolinkにより予約してください。
 ※メールアドレス:nakagaito.takahisa@nihon-u.ac.jp
また、メールやecolinkでの質問などは随時受け付けます。

事前学習の内容など,学生へのメッセージ ・担当教員は現役の国家公務員(総務省)であり、国と地方自治体でそれぞれ約10年の勤務経験を有している。公務員志望者の受講を勧める。
・国と地方の財政を一体的に理解する見地から、担当教員が講ずる「財政学」と併せての受講を勧める。
・出席は評価の対象としないが、出席する場合は誠実に受講すること。とりわけ、私語、立ち歩きなど教室内秩序を乱す行為を禁ずる。