講義名 外国史概説 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金3
単位数 4

担当教員
氏名
伊東 七美男

学習目標(到達目標) 1 古代から現代までの世界の歴史の大まかな流れを説明できる。        2 欧米,東西アジア,東南アジアなど各地域の文化的伝統の性格や概要を説明でき る。        
3 政治制度・税制・経済制度等について,地域間の比較ができる。       4 近代以降の世界の一体化の動向の概要を説明できる。            5 真にグローバルな物の見方とはどのようなものか,自分なりの考えを提示でき る。  
対応DP及びCP:1,2,8             
授業概要(教育目的) 世界の歴史を地域・時代ともにできるだけ広く取り上げ,古代から現代までの世界規模の歴史概要の把握を目指す。世界史的視野から様々な価値観を理解し,複眼的見方の能力を養う。その際,各地域・各時代の歴史概要を押さえながらも,通り一遍の浅薄な把握にならないように,その地域・時代の特徴に関わる重要事項に着目して,メリハリのある歴史的考察に配慮する。
授業計画表
 
項目内容
第1回古代エジプト古代エジプトの統一から新王国時代までを扱う。とくにアジアとの関わりを強く持った新王国時代の性格に着目する。[事前学習]1時間 古代エジプトの歴史の基本的流れを把握しておくこと。[事後学習]1時間 古代エジプト史の流れの転換点など,授業でとくに着目した点を確認しておくこと。
第2回古代メソポタミア,シリア,小アジア古代メソポタミア文明の概略を把握した上で,地中海東岸のシリア,小アジア(現在のトルコの地域)の歴史的意味を考察する。[事前学習]1時間 メソポタミアの地形・気候・風土の特徴を確認しておくこと。[事後学習]1時間 歴史の流れを整理し,それが気候や風土等とどのように関わっていたかを確認しておくこと。
第3回古代ギリシア(1)エーゲ文明から前4世紀末までのギリシア史を概観する。その際,ポリスの構造や特色に着目し,それらがどのようにギリシア文明と関わったかを考察する。[事前学習]1時間 古代ギリシア史の概要とポリスの特色について,大まかな認識を持てるようにしておくこと。[事後学習]1時間 ポリスというものの歴史的意義を説明できるようにしておくこと。
第4回古代ギリシア(2)ポリス市民と戦争を採り上げ,ヘロドトス,トゥキュディデス,アリストファネスなどの史料を通じて,古代ギリシアにおける戦争と平和の問題を考察する。[事前学習]1時間 ヘロドトス,トゥキュディデス,アリストファネスについての基礎知識を把握しておくこと[事後学習]1時間 ポリス市民にとって戦争および平和はどのようなものとして捉えられていたのか,説明できるようにしておくこと。。
第5回古代ローマ(1)ローマの成立から共和政末期の地中海世界統一までの過程を扱い,ローマ発展の概要とその要因を考察する。[事前学習]1時間 ローマの領土拡大の概要を,地図を参照して把握しておくこと。[事後学習]1時間 ローマの発展の要因は何であったかを,ギリシアのポリスと比較して確認しておくこと。
第6回古代ローマ(2)帝政ローマの成立から,ローマ帝国の東西分裂までを扱う。とくに「ローマの平和」と呼ばれる最盛期の状況やキリスト教の成立・発展に着目する。[事前学習]1時間 キリスト教についての基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 ローマ帝国の繁栄の光と影について,説明できるようにしておくこと。
第7回古代インド・東南アジアインダス文明から紀元後7世紀までのインドおよび東南アジアを扱う。とくに仏教,ヒンドゥー教の歴史,またヴァルナ制(後のカースト制)の形成とインド社会への浸透に着目し,インド社会の特色について考察する。[事前学習]1時間 ヒンドゥー教とカースト制についての基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 インドの歴史と社会の特色を説明できるようにしておくこと。
第8回古代中国殷から後漢までの歴史の流れを概観するとともに,中国社会の大きな転換点となった春秋戦国時代の意義に着目する。[事前学習]1時間 春秋戦国時代がなぜ転換点となったのかという問題意識を念頭に,この時代の基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 春秋戦国時代の意義について確認しておくこと。
第9回三国時代~唐末の中国と東アジア魏晋南北朝時代の分裂を経て,隋・唐の統一国家の成立,唐の繁栄と衰退・滅亡までを扱う。その際,漢民族と北方異民族の対立・交流,また東アジア文化圏の形成という点に着目する。[事前学習]1時間 漢民族と重大な関わりを持った鮮卑,突厥,ウイグルなどの異民族について,基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 中国とその周辺地域の関係およびその意義を説明できるようにしておくこと。
第10回イスラーム世界イスラームの成立からオスマン帝国によるビザンツ帝国征服までを扱う。とくに教義に着目して,イスラームの寛容と異教徒との交流・共存を,イベリア半島やシチリア島などを事例として考察する。[事前学習]1時間 イスラームの基本的な教義について把握しておくこと。[事後学習]1時間 異教徒間の交流や共存の状況を整理・確認しておくこと。
第11回中世ヨーロッパ(1)フランク王国を中心とするゲルマン諸国家の動向,封建制の成立,キリスト教の浸透など中世ヨーロッパ前期を扱う。[事前学習]1時間 封建制の基本的構造,とくに権力の在り方について把握しておくこと。[事後学習]1時間 封建制の特色とその形成の背景や要因について説明できるようにしておくこと。
第12回中世ヨーロッパ(2)11世紀以降の中世ヨーロッパ盛期および末期を扱う。封建制の安定と農業生産の増大,商業活動の活発化,中世都市の成立から封建制の動揺に至る歴史の展開とその要因を考察する。[事前学習]1時間 中世ヨーロッパ社会の変容の要因は何かという問題意識を念頭に,具体的な変化の様相を把握しておくこと。[事後学習]1時間 社会の変容とその要因を整理・確認しておくこと。
第13回宋~モンゴル帝国五代十国時代の分裂から宋による中国統一,13世紀におけるモンゴル帝国によるユーラシアの一体化を扱う。とくに大航海時代に先立ってユーラシアの一体化を現出したモンゴル帝国の意義を考察する。[事前学習]1時間 モンゴル帝国の版図を地図を参照して把握しておくこと。[事後学習]1時間 ユーラシアの一体化の具体的な状況について確認しておくこと。
第14回前近代についての世界史的展望これまで見てきた前近代の世界各地の歴史の展開を総括し,それぞれにどのような特徴があるか,またそれが現われた背景や要因を比較史的に検討する。[事前学習]1時間 これまでの各回の授業内容の概要を確認しておくこと。[事後学習]1時間 地域間の比較および相互交流という点に着目して総括しておくこと。
第15回確認試験と解説前回授業までの範囲を試験範囲として,確認試験(60分)を行う。試験終了後,試験の解説(30分)を実施する。
第16回大航海時代新航路開拓の背景や要因,アジア,アメリカ,アフリカを含む世界の一体化の開始とそれによる各地域への影響等を考察する。[事前学習]1時間 アジアのどのような豊かさがヨーロッパ人を惹きつけたかを確認しておくこと。[事後学習]1時間 世界の一体化の状況とそれが意味するものについて説明できるようにしておくこと。
第17回ルネサンスと宗教改革ルネサンスの性格,宗教改革・対抗宗教改革の内容とそれらが引き起こした政治的・宗教的分裂,教皇の権威の失墜とその影響等について考察する。[事前学習]1時間 ルターやカルヴァンの思想についての基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 宗教改革の歴史的意義について説明できるようにしておくこと。
第18回絶対王政と主権国家体制の確立絶対王政の構造,成立の要因や背景,主権国家体制の確立との関係,東欧の啓蒙専制君主と「上からの近代化改革」等を扱う。[事前学習]1時間 主権国家体制についての基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 主権国家体制成立の要因について整理・確認しておくこと。
第19回明・清明の建国から清の18世紀末までを扱う。清は明の諸制度を継承しつつ,満州人による漢民族支配を巧妙に行った。またチベット、東トルキスタンなどに領土を拡大し,現在の中国の領土の大枠を形成した。その過程を考察する。[事前学習]1時間 清の最大領土と現在の中華人民共和国の領土を地図を参照して比較しておくこと。[事後学習]1時間 清の繁栄の要因について確認しておくこと。
第20回大西洋革命(1)アメリカ独立革命とラテンアメリカ諸国の独立を扱う。アメリカ独立革命が掲げた理念と現実の乖離,ラテンアメリカ諸国の独立の実態と課題等について考察する。[事前学習]1時間 アメリカ独立宣言を参照しておくこと。[事後学習]1時間 アメリカ独立革命の意義と限界,また独立革命が他地域に与えた影響について確認しておくこと。
第21回大西洋革命(2)フランス革命とナポレオンの事績の内容およびその影響を,アメリカ独立革命やイギリスの産業革命との関係にも触れながら考察する。[事前学習]1時間 フランス革命の概要についての基礎知識を把握しておくこと。[事後学習]1時間 フランス革命およびナポレオンの事績の意義と限界について説明できるようにしておくこと。
第22回19世紀の世界(1)ヨーロッパのウィーン体制,1848年革命とその後のヨーロッパ,ドイツの統一などを扱い,19世紀半ば以降,ヨーロッパがどのように変化したかを考察する。[事前学習]1時間 1848年革命の概要を把握しておくこと。[事後学習]1時間 1848年革命の意義について確認しておくこと。
第23回19世紀の世界(2)オスマン帝国のタンジマート(恩恵改革),清朝の動揺と洋務運動の展開,インド大反乱,日本の明治維新など,アジア諸国の情勢を扱う。アジア諸国が列強の圧力にどのように対抗しようとしたかに着目する。[事前学習]1時間 タンジマートと洋務運動の概要を把握しておくこと。[事後学習]1時間 タンジマート,洋務運動,日本の明治維新の改革の性格を比較して説明できるようにしておくこと。
第24回19世紀の世界(3)アメリカ合衆国の発展を扱う。西方への領土拡大と西部開拓,南部と北部の対立の深刻化から南北戦争に至る経緯,戦後の経済発展と移民の問題等を考察する。[事前学習]1時間 南部と北部の政治的・経済的主張,また奴隷制に対する立場の相違を確認しておくこと。[事後学習]1時間 アメリカ合衆国というものの国家的性格について考察しておくこと。
第25回帝国主義と第一次世界大戦1870年代以降,帝国主義の時代に入った世界を扱う。帝国主義の性格,アフリカ分割,三国同盟と三国協商の形成と対立から第一次世界大戦の勃発・経過・終結までの流れを追う。[事前学習]1時間 1870年代以降のヨーロッパの経済状況を把握しておくこと。[事後学習]1時間 世界大戦と各国の経済状況の関係を説明できるようにしておくこと。
第26回戦間期~第二次世界大戦終結平和・軍縮に向かった1920年代,1929年から始まる世界恐慌とその影響,ドイツにおけるナチ党の台頭,中国における国民党と共産党の動向,第二次世界大戦の勃発・経過・終結までを扱う。[事前学習]1時間 世界恐慌の概要を把握しておくこと。[事後学習]1時間 ナチ党勢力がなぜ台頭できたのか,説明できるようにしておくこと。
第27回戦後の世界(1)冷戦の始まり,東西陣営の動向,中華人民共和国の成立,インドシナ戦争,朝鮮戦争,ベトナム戦争などを扱う。対立とその緩和の要因に着目する。[事前学習]1時間 冷戦の緩和の要因について調べておくこと。[事後学習]1時間 冷戦の緩和の考察を通じて,平和共存への鍵は何であったか確認しておくこと。
第28回戦後の世界(2)中東の戦後を扱う。パレスチナ問題,クルド人問題などを19世紀末以降の情勢にもさかのぼって考察する。欧米の関与がどのような影響を与えたかに着目する。[事前学習]1時間 第一次世界大戦中のイギリスの中東政策を調べておくこと。[事後学習]1時間 中東をめぐる問題と欧米との関わりを説明できるようにしておくこと。
第29回近現代についての世界史的展望16回以降の授業内容を振り返り,世界の一体化の状況の中で,現代につながる歴史的諸問題がなぜ発生し,どのような経過をたどったか等について,総括的に考察する。[事前学習]1時間 16回以降の授業内容の概要を確認しておくこと。[事後学習]1時間 現代の諸問題ととくに密接につながる諸事項について整理・確認しておくこと。
第30回確認試験と解説16回以降,前回までの授業範囲を試験範囲とし,確認試験(60分)を行う。試験終了後,試験の解説(30分)を実施する。
授業形式 講義形式で行うが,参考プリントを配付し,史料の読解や作業等の時間を適宜盛り込む。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
45% 0% 45% 10% 0% 100%
評価の特記事項 前期最終授業時の小テスト(確認試験)と学年末の最終授業時の定期試験(確認試験)に,出席状況を加味して総合的に評価を決定する。
テキスト 特定のテキストは使用しない。必要に応じてプリントを配付する。
参考文献 『世界の歴史1』~『世界の歴史30』中央公論社
オフィスアワー(授業相談) 授業終了後は時間が空いているので,質問等があれば,適宜対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 各地域・時代を扱うが,それぞれについてテーマ学習的要素を入れるので,とくにそのテーマ関連の事項や内容は,よく復習し確認しておいてほしい。