講義名 哲学概論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月2
単位数 4

担当教員
氏名
伊佐敷 隆弘

学習目標(到達目標)  この科目は教員免許のための科目です。哲学・思想・宗教の分野について中学生や高校生に教えるために必要な基礎的知識を習得することが学習目標です。
 具体的には,
(1)西洋の主な哲学者は何を問題にして,どんな答えを提案したのか,
(2)キリスト教・仏教・儒教はどのような教えの宗教なのか,
(3)福沢諭吉・夏目漱石・柳田国男はそれぞれどのような主張をしたのか,
これら(1)(2)(3)について明快に説明できるようになることが受講者の到達すべき目標です。
対応DP及びCP:1,2,8
授業概要(教育目的)  哲学や思想を学ぶ上で最も重要なことは「自ら考えること」です。この授業では,哲学者や思想家たちが,なぜそのような(一見すると荒唐無稽な)主張をおこなったのか,その動機や背景を説明します。受講者の皆さんも彼らが取り組んだ問題について自分自身で考えてみてください。そうすれば,荒唐無稽に思われた彼らの主張にもそれなりの根拠があることが分かります。
(毎回の授業終了後,エコリンクの「事後学習」に「1.今日の授業で分かったこと」「2.今日の授業でよく分からなかったこと」「3.自分で調べたり,考えたりして分かったこと」を入力してください。入力の締切は次回授業の前日の午後6時までです。)
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション:「哲学」という語の由来「哲学」という語は明治時代の初めに西周が作った翻訳語である。その語源は古代ギリシア語にある。
【事前学習】2時間
シラバスをよく読む。テキスト148ページの「明六社の活動」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第2回哲学の発生とソクラテスの問答法哲学はソクラテス(前5~前4世紀)から始まった。ソクラテスは相対主義への反発と「ソクラテスほど賢い者はいない」という神託の謎を解くために問答を始めた。
【事前学習】2時間
テキスト20~27ページの「ギリシャの思想」「神話の世界」「自然哲学」「ソフィスト」「ソクラテス」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第3回古代ギリシア哲学の展開(1):プラトンのイデア論ソクラテスの問いへの弟子プラトン(前5~前4世紀)による答えがイデア論である。
【事前学習】2時間
テキスト28~30ページの「プラトン」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第4回古代ギリシア哲学の展開(2):プラトンの哲人王プラトンは祖国ギリシアの衰退を見て,理想の政治について考えた。「魂における調和」と類比的に「国家における階級間の調和」を提案した。
【事前学習】2時間
前回の授業で自分が取ったノートを読み返し,テキストの「プラトン」のページを再読する。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第5回古代ギリシア哲学の展開(3):アリストテレスのプラトン・ソクラテス批判プラトンの弟子アリストテレス(前4世紀)はプラトンのイデア論を批判し,さらに,ソクラテスの問いそのものも批判した。
【事前学習】2時間
テキスト31~33ページの「アリストテレス」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第6回古代ギリシア哲学の展開(4):アリストテレスの「中庸」説アリストテレスがプラトンのイデア論の代わりに提案したのは,現実的かつ楽観的な倫理学であった。
【事前学習】2時間
前回の授業で自分が取ったノートを読み返し,テキストの「アリストテレス」のページを再読する。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第7回古代ギリシア哲学のまとめ
ソクラテス→プラトン→アリストテレスという古代ギリシア哲学の流れをまとめる。
【事前学習】2時間
第2回~第6回のノートとテキストの該当箇所を読み返す。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第8回世界の宗教ユダヤ教・キリスト教・イスラム教・仏教・儒教など世界の主な宗教の特徴について知る。
【事前学習】2時間
テキスト52~53ページの「世界の主な宗教」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第9回ユダヤ教の歴史:バビロン捕囚と一神教の誕生キリスト教はユダヤ教の中から生まれた。キリスト教やユダヤ教のような一神教はどうやって生まれたのか。「一神礼拝」と「一神教」の違いがポイントである。
【事前学習】2時間
前回の授業で自分が取ったノートを読み返し,テキスト38~40ページの「聖地エルサレム」「ユダヤ教」「旧約聖書の世界」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第10回キリスト教の誕生:イエスのユダヤ教改革・パウロによる非ユダヤ化
イエス(1世紀)はユダヤ教の改革者として出発した。イエスの死後,パウロ(1世紀)は原始キリスト教を非ユダヤ化し,今日のキリスト教の基礎を作った。
【事前学習】2時間
テキスト37ページの「キリスト教」と41~44ページの「イエス」「パウロ」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第11回宗教改革:カルヴァンと資本主義
カルヴァン(16世紀)は「誰が天国へ行き,誰が地獄へ行くかは,既に決まっている」と主張した(予定説)。「この予定説が初期資本主義を支えていた」と社会学者ウェーバー(19~20世紀)は主張した。
【事前学習】2時間
テキスト178~181ページの「宗教改革(ルター・カルヴァン)」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第12回キリスト教の歴史のまとめ
ユダヤ教→キリスト教(カトリック→宗教改革)というキリスト教の歴史の流れをまとめる。
【事前学習】2時間
第8回~第11回の授業のノートとテキストの該当箇所を読み返す。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第13回西洋における自然観の変遷西洋における自然観は,古代→中世→近代を経てどのように変化したか。自然と人間と神の3者の位置関係の変化がポイントである。
【事前学習】2時間
プリント「西洋の自然観の変化」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第14回キリスト教と近代自然科学の関係キリスト教には,近代自然科学と対立した面と,近代自然科学を準備した面の両方がある。
【事前学習】2時間
前回の授業で自分が取ったノートを読み返す。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第15回中間のまとめ前期授業の要点をまとめる。
【事前学習】2時間
前期授業を復習し,質問を用意する。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第16回西洋哲学史の概略古代ギリシア哲学・中世スコラ哲学・近代哲学という西洋哲学の流れをまとめる。
【事前学習】2時間
シラバスを読む。前期に自分で取ったノートとテキストの該当箇所を読み返す。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第17回近代哲学の発生(1):デカルトの「我思う故に我あり」デカルト(16~17世紀)は理性だけを頼りに絶対確実な知識を求めた。そして,哲学の根本原理として,「考える私」という存在を見出した。
【事前学習】2時間
テキスト192~194ページの「デカルト」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第18回近代哲学の発生(2):デカルトの「物心二元論」デカルトは「世界は心と物質という2種類の実体からできている」と主張した。
【事前学習】2時間
前回のノートを読み返し,テキストの「デカルト」のページを再読する。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第19回近代哲学の展開(1):パスカルの「賭けとしての信仰」数学者であり宗教家でもあったパスカル(17世紀)は「神が存在することは不可解であり,神が存在しないことも不可解である」と言った。
【事前学習】2時間
テキスト184~185ページの「パスカル」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第20回近代哲学の展開(2):ホッブズとロックの社会契約説社会契約説は近代憲法の原理になった考え方である。ホッブズ(16~17世紀)の社会契約説は性悪説的であり,他方,ロック(17~18世紀)の社会契約説は性善説的である。
【事前学習】2時間
テキスト198~201ページの「社会契約説(ホッブズ,ロック)」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第21回近代哲学の展開(3):ベンサムとミルの功利主義功利主義とは,「快を求め苦を避ける」という人間の性質を倫理と政治の基礎にする考え方である。ベンサム(18~19世紀)が提起し,J.S.ミル(19世紀)が修正した。
【事前学習】2時間
テキスト220~223ページ「功利主義(ベンサム,ミル)」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第22回近代哲学のまとめ近代哲学の流れをまとめる。
【事前学習】2時間
第16回~第21回の授業のノートとテキストの該当箇所を読み返す。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第23回仏教の発生:輪廻と往生仏教発生の地であるインドには輪廻思想があった。輪廻は苦しみであり,輪廻からの脱却には,「自力による悟り」か「仏の慈悲にすがること」が必要であった。阿弥陀仏に頼って極楽浄土に生まれ変わることが「往生」である。
【事前学習】2時間
テキスト54~59ページの「仏教」「バラモン教」「ゴータマ=シッダッタ」「仏教の発展」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第24回日本仏教の展開:親鸞の悪人正機説親鸞(12~13世紀)は「善人でさえ極楽往生できるのだから,悪人はなおさら往生できる」と主張した。その真意は何か。
【事前学習】2時間
テキストの102~105ページの「浄土信仰の広まり」「法然」「親鸞」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第25回儒教の発生:「積善の家」と孝儒教の古い文書である「易経」には「積善の家には余慶(よけい)あり。積不善の家には余殃(よおう)あり(代々善を積んだ家にはあふれるほどの幸福が生じ,代々悪を積んだ家にはあふれるほどの不幸が生じる)」と書かれている。これはどのような考え方なのか。
【事前学習】2時間
テキスト64~67ページの「孔子」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第26回儒教の展開:孟子の性善説と荀子の性悪説孟子(前4~3世紀)は「人間の本来の性質は善である」と主張した。一方,荀子(前3世紀)は「人間の本来の性質は悪であって,人間の善である状態は後天的な人為によるものである」と主張した。
【事前学習】2時間
テキスト68~70ページの「孟子」「荀子」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第27回明治時代の日本思想:福沢諭吉「学問のすすめ」・夏目漱石「現代日本の開化」福沢諭吉(19~20世紀)は「平等に生まれたはずの人間に差があるのは学問の有無による」,「一身独立して一国独立す(個人が独立して初めて国家も独立する)」と主張した。夏目漱石(19~20世紀)は「現代日本の文明開化は皮相うわすべりの文明開化だ」と批判した。
【事前学習】2時間
テキスト144~145ページの「福沢諭吉」と156~157ページの「夏目漱石」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第28回日本民俗学の誕生:柳田国男「魂のゆくえ」日本民俗学の創始者である柳田国男(19~20世紀)は,「お盆という習慣には,『死者の魂は極楽や地獄のような遠い所へは行かず,すぐそばの山の頂上に留まっていつも子孫を見守っている』という(仏教以前の古い)死生観が現れている」と主張した。
【事前学習】2時間
テキスト167ページの「柳田国男」を読む。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第29回後期授業のまとめ後期授業の要点をまとめる。
【事前学習】2時間
後期授業を復習し,質問を用意する。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習し,エコリンクの「事後学習」に入力する。
第30回全体のまとめ前期後期全体のまとめをおこない,定期試験を実施する。
【事前学習】2時間
前期後期の授業全体の復習をする。
【事後学習】2時間
今日の授業をよく復習する。
授業形式 (1)講義形式でおこないますが,受講者が入力した「事後学習」の内容をプリントにして次回の授業で配付したり,授業中に受講者に対して質問するなど,なるべく双方向の授業にします。
(2)授業中の私語・携帯電話の使用・遅刻・早退は厳禁です。(私語は教室内の他の学生の授業を受ける権利を侵害する行為なので厳禁です。万一,遅刻した場合は,他の学生の迷惑にならないように席に静かに座ってください。)
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
60% 0% 0% 20% 20% 100%
評価の特記事項 毎回出席を取ります。
「その他」は「事後学習」への入力回数です。
定期試験の際は自筆ノートのみ持ち込み可です。
テキスト 『最新図説 倫理』浜島書店。(必ず最新版を入手すること。)
参考文献 伊佐敷隆弘『死んだらどうなるのか?─死生観をめぐる6つの哲学』亜紀書房、2019年。
オフィスアワー(授業相談) 授業の前か後にアポイントメントを取り,指定された時間帯に本館2階講師室に来てください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ この科目は教員免許のための科目です。「子供たちに教える」という仕事の責任の大きさを自覚して真剣に取り組んでください。