講義名 計量経済学Ⅱ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 木6
単位数 2

担当教員
氏名
行武 憲史

学習目標(到達目標) 1.大学院中級レベルの計量経済学理論を学び、データを用いた実証的な論文の執筆や実践的なデータ分析を行う際に必要となる分析手法を身につける。(計量経済学Ⅰ(行武)を履修済みであることを前提としている)。
2.具体的には,計量経済学Ⅰで学習した回帰分析の知識をベースとして,現在の応用ミクロ経済学分析で利用されている様々な分析手法について学習する。
3.計量分析パッケージを用いた実際的なデータ分析への応用技術も習得する。
授業概要(教育目的) 計量経済学Ⅰで学習した回帰分析を基礎とする因果分析手法について,理論と演習を通じて学習し,様々な経済事象に対する分析能力を獲得することを目的としている。

そのため,実際に計量分析パッケージを用いた演習を通じて,データの加工,分析方法および分析結果の報告方法についての指導を行い、最終的には各自が興味を持つ分野で計量経済分析が出来るようになることを目指す。
授業計画表
 
項目内容
第1回制限従属変数モデル12値変数モデルの代表であるロジットモデル・プロビットモデルについての学習を行う。
【事前学習】2時間:テキスト8.1,8.2を読んでおく。【事後学習】2時間:実際のデータを使って,ロジットモデル,プロビットモデルについての推定を行う。
第2回制限従属変数モデル2被説明変数が離散変数の場合,あるいは限定された場合の推定モデルについて学習を行う。
【事前学習】2時間:テキスト8.3,8.4を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:トービットモデルについて,実際のデータを使って推定を行う。
第3回制限従属変数モデル3被説明変数が制限されている場合の内生性の処理および,サンプルセレクションバイアスについて学習する。
【事前学習】2時間:テキスト8.5,8.6を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:講義に対応する章末問題を解く。
第4回政策評価モデル1政策評価モデルについて,基本的な概念を学習する。
【事前学習】2時間:テキスト9.1~9.3を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:ATEとATTの概念について説明できるよう確認する。
第5回政策評価モデル2マッチング推定法について,理論的背景と応用例を学習する。
【事前学習】2時間:テキスト9.4,9.5を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:傾向スコアマッチング分析について,実際のデータを使って確認する。
第6回政策評価モデル3自然実験を用いた内生性の回避の方法である差の差推定について学習する。
【事前学習】2時間:テキスト9.8を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:差の差分析を用いた先行研究を整理する。
第7回政策評価モデル4 不連続回帰デザイン(RDD)の理論的背景と応用例について学習する。
【事前学習】2時間:テキスト9.9を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:RDDを適用した論文についてのサーベイを行う。
第8回系列相関と時系列モデル1マクロ時系列データの概要と,系列相関に対する検定,対処法について学習する。
【事前学習】2時間:テキスト10.1~10.3を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:演習データを使って,系列相関の検定を行う。
第9回系列相関と時系列モデル2自己回帰モデルや分布ラグ・モデルといった基本的な時系列分析について学習する。
【事前学習】2時間:テキストの10.4~10.6を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:自己回帰モデルについて,演習データを使って実際に推定を行う。
第10回トレンドと構造変化1
マクロデータ経済データのトレンド成分とトレンドサイクルの分解について学習する。
【事前学習】2時間:テキスト11.1,11.2を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:テキスト章末の演習問題を解く。
第11回トレンドと構造変化2
単位根検定と構造変化の検定についての学習を行う。
【事前学習】2時間:テキストの11.3~11.5を読んでおくこと。
【事後学習】2時間:授業とは異なるデータを用いて,単位根検定を実践する。
第12回VARモデル1VARモデルとグランジャーの因果性について学習を行う。
【事前学習】2時間:テキスト12.1,12.2を読んでおく。
【事後学習】2時間:
第13回VARモデル2見せかけの回帰と共和分分析についての学習を行う。

【事前学習】2時間:テキスト12.3を読んでおく。
【事後学習】2時間:共和分分析の一連の流れを園主データを使って確認する。
第14回実証分析の演習1 データ収集から推定結果の解釈まで,各自の関心のあるデータを用いて実証レポートの書き方を学習する。
【事前学習】2時間:テキストの付録Cを読んでおくこと。
【事後学習】2時間:レポート作成。
第15回実証分析の演習2 実証分析レポートを完成させる。
【事前学習】3時間:前回授業で扱った各自のテーマについて,ある程度の分析を進めておく。
【事後学習】3時間:授業データのフィードバックをもとに,レポートを完成させ,修士論文の準備を行う。
授業形式 基本的には輪読による演習形式で進め,必要に応じて教員による解説を行う。
また,テキスト等演習問題について統計ソフトによる実習を行う。
統計ソフトによる演習のフィードバックは,基本的に授業内で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 40% 0% 50% 10% 100%
評価の特記事項 小人数が想定されるため,毎回前回の授業内容の理解度の確認をしつつ進め,最終レポートと合わせて評価を行う。
テキスト 西山・新谷・川口・奥井「計量経済学」有斐閣, 4,000円+税.
参考文献 星野・田中『Rによる実証分析 回帰分析から因果分析へ』オーム社 2,700円+税.
William Greene, Econometric Analysis (8th Edition), Pearson, 2017.
山本拓著『計量経済学』新世社,3,300円+税.
岩田暁一著『経済分析のための統計的方法』東洋経済新報社,3600円+税.
オフィスアワー(授業相談) 月曜 11時-14時30分
火曜 13時-15時
事前に必ずアポイントを取ること。
連絡先は,初回授業時にお知らせします。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 本講義は,数学を駆使する理科系の内容であり,Rの演習を含めて積み上げ方式である。ゆえに欠席をすると次回以降の理解に致命的なマイナスとなるので,留意されたい。
そのため,毎回の出席が必須となり,自宅での予習復習が履修の絶対条件となる。