講義名 国際金融論Ⅱ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 水4
単位数 2

担当教員
氏名
黒沢 義孝

学習目標(到達目標) 上期(国際金融論Ⅰ)に学んだ国際金融論の考え方・理論を踏まえて国際金融に関する実際の問題を論文を読みながら学ぶことを目的としますので受講生は各項目について上期のテキストを復習しながら受講してください。上期の講義を受講しなかった受講生については予習の必要事項を前もって渡しますので事前に読んでおいてください。国際金融論の基本的なテーマである為替レート、国際資本移動、マクロ経済と国際金融論の関係などが実際の国や市場でどのように発生し、国際金融論の考え方がどのように応用されているかを理解することを目標としていますので日頃から新聞・雑誌・ニュースなどに関心を持つようにしてください。
授業概要(教育目的) 下期の国際金融論Ⅱでは各国で起きている国際金融の実際の問題について論文(本も含む)を読みながら理解できるようにすることを目的としています。実際の問題のテーマとしては国際金融の歴史、国際金融の理論、グローバリゼーションと国際金融、及びいくつかのトピックス(金融危機、人民元の問題、国際金融市場の安定化の問題、経常収支のインバランス、日本の問題)などを取り上げ、それらに関する論文・本・記事を読みながら進めます。
授業計画表
 
項目内容
第1回オリエンテーション*授業の進め方
*国際金融論Ⅱで学ぶ項目についての概要説明
*受講生の関心事項の把握
第2回国際金融の歴史(1)*金・ドル本位制度の崩壊過程・・・・(フランス・ドイツ・日本、ユーロダラー市場の拡大と国際資本移動の激化、金・ドル交換性停止とスミソニアン合意)
*国際通貨システムの世界的枠組み・・・・(為替相場制度の諸類型、ペッグ制、変動相場制、国際通貨システムの枠組み)
第3回国際金融の歴史(2)*円の国際史とアジア・・・・(円の誕生と東アジア、戦後の為替・資本規制と外国為替銀行)
*国際銀行史・・・・(第二次大戦後の国際銀行、国際銀行マーチャント・バンクの消長)
第4回国際金融の理論(1)*国際金融市場・・・・(リスク・期待収益と投資手法、国際金融市場と国際金融システムの安定性)
*国際資本移動・・・・(国際収支と国際資本移動、国際資本移動と国際金融市場)
第5回国際金融の理論(2)*通貨危機・・・・(第一世代〜第三世代の通貨危機理論、通貨危機の実証分析)
*通貨統合の理論・・・・(通貨統合の経済学的メリット・デメリット、最適通貨圏の理論)
第6回グローバリゼーションと国際金融(1)*国際金融の新しい現象・・・・(伝統的モデルの崩壊、ボラティリテイの増大とリスク管理、バーゼル合意)
*国際金融の不透明性と世界金融危機・・・・(金融のグローバリゼーションとオフショア市場の発展、サブプライム・ローン問題)
第7回グローバリゼーションと国際金融(2)*アメリカの国際収支・・・・(アメリカへの資本流入、基軸通貨国のディレンマ)
*金融グローバル化とEU通貨統合・・・・(ヨーロッパの金融グローバル化、ECU/EMS/EMUへの進展、国際通貨システムにおけるユーロ)
第8回グローバリゼーションと国際金融(3)*国際資金フローの構造変化・・・・(国際資金フローの変化の歴史、機関投資家の投資行動、M&Aにおける国際資金フロー)
*日本企業の金融グローバル化・・・・(日本企業の海外資金調達、為替リスク管理、国際財務管理)
第9回金融機関の新たな展開*金融機関の国際化・・・・(多国籍銀行の展開、多国籍銀行のリスク管理、多国籍銀行の理論)
*グローバル金融機関のリスク管理・・・・(リスク管理の新しい手法、金融規制上の国際的対応、グローバル金融システムの安定化のための取り組み)
第10回東アジアの金融危機と安定化の方策*1997-98年のアジア通貨危機・・・・(資本収支危機の基本的性格・危機発生のメカニズム・危機の帰結)
*アジア地域金融協力・・・・(為替相場の安定策、アジアの地域債券市場・ラストリゾート)
第11回中国人民元の問題*中国の為替制度 ・・・・(中国の為替政策、資本取引規制、金融・資本市場の構造)
*人民元の評価・・・・(貯蓄投資バランス・国際収支バランス、人民元の過小評価の問題)
第12回国際通貨・金融の安定化*国際金融のグローバル化・・・・(金融・資本取引のボーダレス化、IMF・世界銀行の役割)
*国際通貨システムの多極化・・・・(IMF・ブレトンウッズ体制の崩壊、新興国・途上国の為替相場制度、国際金融システム改革)
第13回グローバル・インバランスの解明*グローバル・インバランスの指標・・・・(米ドルの実質実効為替レート、米国の外貨準備、不胎化の問題点)
*グローバルインバランスの諸説・・・・(基軸通貨米ドルの特権、経常収支赤字の持続可能性、正統派経済学の考え方)
第14回国際金融市場における日本の金融*二つの国際化・・・・(証券恐慌、国債発行と企業金融、変動為替相場制への移行と国際化の進展)
*金融自由化と金融再編 ・・・・(金融自由化、バブルの発生と崩壊、金融再編)
第15回質疑応答第2回〜14回で学んだ項目で特に問題とすべき点についての議論の深堀をします
授業形式 *教員の講義及び受講生からの質問に対する説明を中心に進めます。             *受講生の希望などを踏まえて学生による報告も含めたいと思っています。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 50% 0% 50% 0% 100%
評価の特記事項 授業の中であらかじめ用意されたテーマについての受講生による報告(発表)を予定していますのでレポートの作成に役立つように報告の準備をしてください。
テキスト 『激動する国際金融』黒沢義孝著、梓出版社(2000年6月)少し古いのでネットで探してください。
参考文献 『国際金融理論』新・国際金融テキスト1(有斐閣)
『国際金融史』新・国際金融テキスト2(有斐閣)
『現代国際金融』新・国際金融テキスト3(有斐閣)
『金融の世界現代史』国際銀行史研究会編(一色出版)
オフィスアワー(授業相談) 授業時に指示します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 国際金融やマクロ経済、金融に興味のある学生には国際金融に関する問題が実際の世界(国)でどのように発生しているかを理解する最適な機会になると思います。