講義名 公会計論Ⅰ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 土2
単位数 2

担当教員
氏名
齋藤 真哉

学習目標(到達目標) ・政府会計制度(予算・決算制度)の概要と課題を説明できる。
・「国の(連結)財務書類」の概要と趣旨を説明できる。
・会計検査院検査の内容と特徴を説明できる。
・政府会計における企業会計的手法の導入の意味を検討できる。
・PFI事業の内容とその会計処理を説明することができる。

授業概要(教育目的)  公会計という領域には、政府会計および民間の非営利組織体の会計が含まれる。公会計論Ⅰでは、主として前者の政府会計を取り上げて、現行の財政法の枠内で行われている会計(政府会計制度)についてその内容と課題を理解し、新たな会計情報の意義を理解するとともに、政府会計全般の問題点が検討できるように授業を進める予定である。さらに、政府会計と企業会計の同質点と相違点を踏まえて、政府会計の本質について検討を進めることにしたい。
 加えて、国の財政状況の悪化に伴い、その重要性が高まっている民間活力を活用するPFI事業の内容と会計処理について、検討することにしたい。
授業計画表
 
項目内容
第1回オリエンテーション授業の内容と概要等の説明
授業計画の説明
検討の視点の説明
第2回政府会計制度の近代史・明治時代からの政府会計制度の経緯
・特別会計の存在と減価償却
第3回国の会計制度の概要・予算・決算制度の概要
・予算・決算の流れ
・政府会計制度の特徴
・政府会計制度と世代間の負担の公平性
第4回地方公共団体の会計制度の概要・地方公共団体における予算・決算制度
・地方公営企業
・地方公共団体の財政危機の具体的事例
第5回予算・決算制度の問題点・日本財政状態と予算・決算制度
・財政再建と必要な会計情報
第6回国の財務書類等・新たな財務書類の作成
・「国の財務書類」の概要と意義
・「国の連結財務書類」の概要と意義
・「統一的な基準」による地方公会計情報
・新たな会計情報とその利活用
第7回政府会計への企業会計的手法の導入・発生主義思考と複式簿記の導入
・企業会計および政府会計における減価償却の意味
・企業会計および政府会計における引当金設定の意味
・新たな財務書類等の課題
第8回新たな財務書類の利活用・貸借対照表の構成及び分類
・業務費用計算書の活用
・予算へのフィードバックの可能性
第9回政府会計をめぐる国際的動向・IPSASの背景
・IPSASの内容
・IPSASの特徴と有効性
第10回会計検査院による検査
・会計検査院の法的位置づけ
・会計検査院検査の内容
  決算の確認、など
・会計検査院の報告
第11回会計検査院検査の近年の動向・会計検査院の諸視点
・3E検査やVFM概念
・諸外国における会計検査報告
第12回PFI事業の意義とPFI事業の実施手続き・PFIの意義・分類
・コンセンッション方式
・VfMの測定と課題
・運営権対価の決定方法

第13回PFI事業の事業者側の会計処理・日本の実務対応報告による基本的な会計処理
・IFRICによる基本的な会計処理
・JICPA公表物にみる(独立行政法人における)PFIの会計処理の検討
第14回PFI事業の管理者側の会計処理・管理者側(行政側)におけるPFI事業の会計処理
・PFI事業と予算制度
・PFI事業における公共料金の策定

第15回PFI事業の事例とPFI会計の諸課題の検討・日本における成功事例と失敗事例
・PFI事業の現状
・リース取引との類似性と相違
・プロフィットシェアリングに対する考え方と会計処理
・その他
授業形式 授業の前半は、プリントを使用した講義と質疑応答の形式で進める。
後半のPFI事業に関連する授業については、受講者にその担当する内容について、調査検討し、その内容を授業にて報告してもらい、受講者全員で検討する。
必要な資料や参考文献は適時指示する。
なお受講者の関心等に応じて、授業内容を一部変更することもありうる。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 20% 0% 80% 0% 100%
評価の特記事項 授業中での検討に積極的に参加することを重視する。
テキスト 指定しない。
参考文献 杉山学・鈴木豊編著『非営利組織体の会計』中央経済社。
小西砂千夫『公会計改革の財政学』日本評論社。
亀井孝文『公会計制度の改革 第2版』中央経済社。
加えて、必要に応じて適時、授業にて紹介する。
オフィスアワー(授業相談) メールを利用して個別に予約をしてください。
(メールアドレスは、授業中にお知らせします。)
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 企業会計の基礎的な知識は必要となるため、会計学に関する他の授業を履修することを薦めます。
会計学については、企業会計の領域を中心に学習されてきた人が多いと思われます。しかし企業(営利組織)会計に加えて、営利を目的としない組織の会計を学ぶことで、相互の領域についての知見が深まるという相乗効果が期待できます。
強い関心をもって、授業に参加していただくことを楽しみにしております。
参考URL 1 https://www.mof.go.jp/
参考URL 2 https://jicpa.or.jp/specialized_field/publication/research_report/#anchor-08