講義名 経営学AⅡ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 土5
単位数 2

担当教員
氏名
平野 文彦

学習目標(到達目標) 気候変動、感染症の拡大危機、デジタル化、「仕事の未来(ILO)」など、地球規模での環境の変化・変質が進む現代において、人類が対処すべき課題は尽きることはなく、事業組織として対応できる機会も無尽蔵というべきです。本講義では、基本的には、前期に行った「経営学の基礎理論」を踏まえて、経営学が担っているミッションと、事業組織の経営手法を的確に理解できるようになることを目的とします。
授業概要(教育目的) 現代の先進的社会が歩んでいる「第4次産業革命」や「Societyy5.0」への動きの中にあって、着実に発展を遂げている事業組織について、その経営(management)のあり様を理論的に理解できるようになることを目的とします。そのため、“経営学の最先端理論”を目指している研究の試みの幾つかについて理解を深め、最先端にある事業組織の経営についての理解力を高めることを目指します。
授業計画表
 
項目内容
第1回序 『経営学』とはどのような学問であるべきか1. 現代の事業組織が直面している最新の課題に視点を置き、『現代経営学』が目指す目的は何か。その意義。2.「経営」とは何か。何を、どう理解するか、の2点について、前期に行なった講義を踏まえた確認の講義を行う。また今後の授業の進め方、理論開発に必要な議論の進め方、基本的な文献の扱い方等について説明を行う。
[事前学習] 2~3時間
広く、経済誌や経済系新聞に目を通して、『経営学』にはどのような解決課題が突きつけられているかについて、インターネット検索等を用いて、できるだけ多く(少なくとも3~5点)を収集する。その結果を、それぞれについて、「①説明― ⓶その説明者名― ③記載されていた書籍・新聞名と所在ページ―、④その出版社名と発行年月日」をワンセットとして、Excel等を用いて整理してくること。
[事後学習] 0時間
第2回「事業(ビジネス)」の「経営(management)」について考察する ―[事業(ビジネス)」というものの考え方P.F.ドラッカーの場合は、経営(management)が果たすべき機能を、に①事業(business)そのもの、⓶経営陣(層)(manager)、 ③働く人と仕事の内容、という3つ分野に分けてとらえる。このことについて経営学が意識すべき解決課題を解説し、正しい理解を求める。そこでまず第一に「ビジネス(事業)」という概念に焦点を絞って、その経営学における理解について確認する。
[事前学習] 2時間
日々の新聞報道やネット・ニュースの中から、改めて「ビジネスとは何か」について考えさせられるような記事を、できるだけ多くピックアップして、「①記事、―⓶ニュース・ソース(掲載紙)名とその掲載日付―③ビジネスに対する問題意識」をワンセットにして整理し、討議に備えてくること。
[事後学習] 1時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第3回「経営陣(層)(manager)」とその「マネジメント(経営)」について考察する (1)「経営者」とはいかなる存在か。その果たすべき機能は何か特に以下の諸点に焦点を置いた議論を行なう。1.人的資源たる経営者(manager)ということ、2.managerの仕事は何か。3.仕事と責任と権限の望ましくない関係、4.上司と部下との、本来あるべき関係、5.リーダーシップと権限の集中。

[事前学習]  2時間
「経営者」とは何かについて、その日本語の語源や本来的な意味を含めてなど、インターネットを活用して事前に考察し、一応の整理を試みること。
[事後学習] 1時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第4回「経営陣(層)(manager)」とその「マネジメント(経営)」について考察する (2)個人経営と集団・組織による経営ここではドラッカーの主張する「目標の設定によるセルフ・マネジメント(自己管理)」の意義について考察する。加えて「経営のための組織」のあり方、及び「経営者の育成」について考える。

[事前学習]  2時間
「組織に精神、あるいは文化を育てること」の意義をめぐって講義と理論開発に必要な討議を行う。加えて組織文化に基づく経営者の育成のあり方について議論を行う。そのための有益な事実資料を準備してくること。
[事後学習]  0.5時間
今回の講義で得た知識と残された研究課題について整理を試みること。
第5回「働く人と仕事の内容」とその「マネジメント(経営)」について考察する (1)企業において働く人」の概念について考える
ここでは「組織に働く人々」について、どのような理解が存在しているかを考察する。その上で、彼らが行なっている仕事内容について、その特質をとらえ、分類を試みる。
[事前学習」2時間
経済学でいう労働者と経営学でいう労働者との違いについて専門の辞書等を用いて考察を試みること。
第6回「働く人と仕事の内容」とその「マネジメント(経営)」について考察する (2)企業で働く人」, [労働者(worker)」の雇用というものの考え方「労働者」とその「雇用」について、実際にはどのような考え方が存在しているかについて現実を考察する。
[事前学習] 2時間
従業員、社員、および労働者の概念と、「雇用」の概念について辞書などを用いて考察し、一応の整理を試みること。

[事後学習] 1時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第7回「働く人とその仕事内容」を対象とした「マネジメント(経営)」について考察する (3)-企業等の事業組織で働く人」に対して「マネジメント」を行なうことの意義は何かここでは「働く人と仕事の内容」について、主として3つの課題に分けて考える。第三は「マネジメント」の概念と方法について現実の状況を考える

[事前学習] 2時間
従業員、社員、および労働者の概念について辞書などを用いて考察し、一応の整理を試みること。
[事後学習] 1時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第8回「働く人と仕事の内容」とその「マネジメント(経営)」について考察する (4)-企業において働く人」の「社内組織」の根本的な考え方とあり方
ここでは「働く人と仕事の内容」について、主として3つの課題に分けて考える。第四は「管理のための社内組織」について議論する。
[事前学習] 2時間
社内における「管理組織」の問題点について事前に、辞書などを用いて考察し、一応の整理を試みること。
[事後学習] 1時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第9回「働く人と仕事の内容」とその「マネジメント(経営)」について考察する (5)-企業において働く人」の「モチベーション」の考え方とあり方ここでは「働く人と仕事の内容」について、主として3つの課題に分けて考える。第五は「モチベーション」について

[事前学習] 2時間
働く人たちに対するモチベーション(動機付け)について、「管理」という言葉の問題点について事前に、辞書などを用いて考察し、一応の整理を試みること。
[事後学習] 1時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第10回「働く人と仕事の内容」とその「マネジメント(経営)」について考察する (6)-企業において働く人」に対する「労働報酬(賃金・給与)」の基本的な考え方と問題点ここでは「働く人と仕事の内容」について、主として3つの課題に分けて考える。第六は「賃金・給与」について。

[事前学習] 2時間
働く人たちに対する「賃金・給与」等の労働報酬について、その問題点について事前に、辞書などを用いて考察し、一応の整理を試みること。
[事後学習] 0.5時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第11回経営戦略としての「マーケティング」と「イノベーション」について考察する企業を長期的な低迷や停滞から立ち直らせるのも、その後も、企業を持続的な成長に導くのも、偏にイノベーションだと見る考え方がすでに広く定着している。そしてそこで行われているのがイノベーションのマネジメントである。ここでは、「マーケティング」の現代における意義と方法について、また「イノベーション」の発想法について講義と討議を行なう。

[事前学習]  2時間
日々の新聞報道やネット・ニュースの中から、戦略的と感じられる「マーケティング活動」と「イノベーション活動」をめぐって、強い疑問や関心を抱いた事項を整理し、議論の準備をしてくること。特に世界の各国で5G(次世代通信)への取り組みが急ピッチで進んでいる。このことについて、通信の世界で何が、どのように革新されることになっているのか、加えて、人々の生活にはどのような革新がもたらされるのか、大きな関心をもって調べてみること。

[事後学習]  0.5時間
今回の講義で得た知識と今後の研究課題について整理を試みること。
第12回経営組織論の新動向について  (1)ティール組織とその意義近年になって注目されている研究成果としてにフレデリック・ラルーによる『Reinventing Organizations (邦訳書名:『ティール組織』(2018/12)鈴木立哉訳、英治出版)がある。ここで提示された[組織モデルの発達段階]について紹介する。「衝動型(レッド)」、「順応型(アンバー)」、「達成型(オレンジ)」、「多元型(グリーン)」、「進化型(ティール)」として整理されている。「ティール組織」は自主経営(セルフ・マネジメント)、全体性(ホールネス)、存在目的を重視する独自の慣行をもつタイプである。予め配布する資料に基づいて予習をしてくること。
第13回経営管理論の新動向についてもっとも新しい研究成果として注目されるのがに入山 章栄 (著)の『世界標準の経営理論』(2019/12/12)である。要点と意義について講義を行なう。
第14回現代経営学の実践的課題について本講義を閉じるにあたって、ここでは(1)集団と個人、(2)人を雇う側と働く人の要求の違い、(3)伝統的な人事管理の考え方からの脱却、(4)人を動かす本質的モティベーション、などに関して、これまでの講義を踏まえて総合的なコメントを行う。

[事前学習] 1時間
 受講生からの疑問、質問、問題意識などに基づいて、総合的な議論を行なう。
第15回経営学の原理と経営の実践をめぐる総合的検討講義期間中に、日本を含む世界で話題となった「経営(management) 」に関連する経営者の発言や事件を取り上げて、履修生との間でディスカッションを行うことで、経営学研究の今後の課題と方向を明らかにしていく。
授業形式 通常は教室における演習形式で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 30% 0% 70% 0% 100%
評価の特記事項 主たるレポートは、議論の成果をまとめたものとする予定。
テキスト 開講時に指示する。
DVD教材を使用することが多い。
参考文献 P.F.ドラッカー『現代の経営』ダイヤモンド社
稲盛和夫『行き方』サンマーク出版、2004年
稲盛和夫『京セラフィロソフィ』サンマーク出版、2014年
J.F・コッター『幸之助論』ダイヤモンド社、2008』
『ティール組織』(2018/12)鈴木立哉訳、英治出版)
『世界標準の経営理論』(2019/12/12)入山 章栄 著

オフィスアワー(授業相談) 毎週土曜日14:40:~16:10(履修生の希望により、変更することは可能)
事前にメールでアポをとること。メールアドレスは最初の講義日に伝える。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 決められた時間割が不都合で、別の時間帯での履修を希望する場合には、教務課窓口に相談すること。講義時間帯を調整・変更できることがある。