講義名 経済政策論Ⅰ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 金6
単位数 2

担当教員
氏名
杉原 茂

学習目標(到達目標) 経済政策のうち医療システムのあり方に関して、国際比較的な観点から、どのようなシステムが存在しどのように機能しているかを理論的及び実証的に理解し、効率的な医療システムのあり方とそれを達成するための政策手段について自分なりに論じることができるようになる。
授業概要(教育目的) 医療システムについて英語の文献を精読し、理論的な分析及び実証分析の仕方、データの扱い方などを学生に身に付けてもらい、自分なりの知見の形成や仮説の設定・検証ができるようになることを目的とする。講義の最後に効率的な医療システムのあり方とそれを達成するための政策手段についてのレポートを提出してもらう。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション講義の進め方、評価の方法、履修上の注意事項等について説明する。
【事前学習】2時間
医療システムのあり方に関して、各種文献や教科書等を基に、自分としての関心事項や政策課題等を整理して、授業において報告できるようにしておく。
【事後学習】2時間
今後の授業に備えて、必要な経済理論や統計学を復習しておく。
第2回医療経済の概観医療経済について、全体的なレビューを行う。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap.1 Introduction and Overview を読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、経済政策として医療を分析する様々なアプローチを整理する。
第3回医療サービスの供給体制と資金調達(1)医療サービスの供給体制と資金調達として、民間主体を中心にしたシステムを採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap. 11 Private Financing of Health Careを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。

第4回医療サービスの供給体制と資金調達(2)医療サービスの供給体制と資金調達として、公的主体と民間主体をミックスしたシステムを採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap. 12 Government Financing and Private Supplyを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第5回医療サービスの供給体制と資金調達(3)医療サービスの供給体制と資金調達として、公的主体を中心にしたシステムを採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap. 13 Public Supply and Financingを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第6回研究開発と製薬産業医療サービスの供給体制の中で重要な位置を占める製薬産業を採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap. 9 Pharmaceutical Industryを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第7回医療の成果:健康状態・経済成長医療が国民の健康状態や経済成長にどのように貢献しているかを採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap. 16 The Contribution of Personal Health Services to Longevity, Population Health and Economic Growthを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第8回政策課題についての調査計画参加者が効率的な医療システムのあり方とそれを達成するための政策手段について作成するレポートについて調査計画を発表し、参加者間で議論する。
【事前学習】2時間
自分の問題意識を明確にし、基本的な文献やテキストを参照しつつ、調査計画を作成する。
【事後学習】2時間
問題意識や調査計画を改めて整理する。
第9回医師のインセンティブと報酬支払制度情報の非対称性の中で医療サービスの供給において重要な役割を果たす医師のインセンティブについて採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Glied and Smith, eds., Chap.25 Physician Agency and Payment for Primary Medical Careを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第10回医療における市場競争医療供給の効率化政策の一つとしてイギリスを中心とする医療市場における競争の導入について採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Glied and Smith, eds., Chap.28 Increasing Competition Between Providers in Health Care Marketsを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第11回医療サービスの質の計測医療システムを評価する際に重要となる医療サービスの質の計測の方法論を採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Glied and Smith, eds., Chap.33 Health Utility Measurementを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習する。
第12回医療システム評価のための統計的手法医療システムを評価するための統計的手法を採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Glied and Smith, eds., Chap.37 Econometric Evaluation of Health Policies.を読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習する
第13回政策課題についての既存研究の整理参加者が効率的な医療システムのあり方とそれを達成するための政策課題について作成するレポートに関して既存研究をサーベイして発表する。
【事前学習】2時間
自分が取り上げるテーマに関連する既存研究を整理して報告できる形にまとめる。
【事後学習】2時間
今後さらに調査が必要な事項を整理する。
第14回医療経済学の新しい潮流医療のおいても重要な限定合理性の問題や成果に応じた報酬などの新しい政策手法などを採り上げる。
【事前学習】2時間
テキスト:Sloan and Hsieh, Chap.17 Frontiers of Health Economicsを読み、概要を理解しておく。
【事後学習】2時間
授業で扱った内容をテキストで復習し、当該政策分野に関して現状や課題を自分なりに整理する。
第15回政策課題についてのレポートの発表参加者が効率的な医療システムのあり方とそれを達成するための政策課題について作成するレポートを発表し、参加者間で議論する。
【事前学習】2時間
レポートを報告できる形にまとめる。
【事後学習】2時間
授業での議論を踏まえて、レポートを改訂する。
授業形式 受講者は指定された教科書の担当箇所を報告する。レポートは、効率的な医療システムのあり方とそれを達成するための政策手段に関連したテーマについて、理論的分析と仮説の設定、データ分析及び仮説の検証、政策提言などを行ってもらいます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 50% 0% 50% 0% 100%
評価の特記事項 授業への参画は、テキストの割り当てられた箇所の報告、及び、他の受講者の発表に対するコメント等である。
テキスト Sloan & Hsieh, Health Economics.
Glied & Smith(eds), Oxford Handbook of Health Economics.



参考文献 Newhouse, Joseph. Pricing the Priceless. MIT Press, 2002.
オフィスアワー(授業相談) 火曜日15時~16時。授業中・授業後に質問・相談を受け付けます。それ以外の時間に質問・相談したい場合は、必ず事前にアポイントメントをとって下さい。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 報告やレポートの作成は自ら積極的に学習・調査に取り組むことが必要です。また、経済政策の分析には、一般的な経済学や統計学以外に、当該分野固有の知識などについても深い理解が必須となります。したがって、高い意欲と強い意思を持って授業に臨むことを求めます。