講義名 特殊講義Ⅰ(国税徴収法実務Ⅰ) ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 土3
単位数 2

担当教員
氏名
橘 素子

学習目標(到達目標) 1  国税徴収法(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律その他関連す
 る他の法令を含む。以下、同じ)の概要と基本的考え方を習得する。
2  国税徴収法の法令を解釈できる。
3  事実関係に基づく法令の適用の仕方を基礎的な事例について習得する。
授業概要(教育目的) 国税徴収法は国税債権にとどまらず、地方税や公課の徴収手続において準用される法律であり、民事執行法や倒産法制などとも深く関係する法律である。前期、後期を通じて、滞納処分のほか、他の強制執行手続、倒産処理手続との関係を含めた国税徴収法について、主要な判例を踏まえて国税徴収法の基本的な考え方をできる限り理論的、体系的に説明する。
また、過去の税理士試験問題を取り上げて、法律の趣旨の理解を深める。
授業計画表
 
項目内容
第1回国税徴収法の概要-総説国税徴収法の理念、目的と規定の内容の概要を説明し、第2回からの滞納処分手続の内容の理解を基礎とする。
・国税の優先権、自力執行権
・国税の徴収の所轄庁
・納税者の範囲
第2回滞納処分手続各論(1)-差押えの要件
差押えの要件について説明する。
繰上請求事由について理解を深める。
◇ 平成29年度〔第一問〕問2に出題
第3回滞納処分手続各論(2)ー差押えの効果
滞納処分手続のうち、その中心的な手続である差押えの法律効果について説明する。
・差押えの一般的効力について取り上げる。
・差押えを解除しなければならない場合、解除することができる場合について説明する。
◇ 平成27年度〔第一問〕問2に出題 
◇ 平成30年度〔第一問〕問2に出題 

第4回滞納処分手続各論(3)ー差押換えの請求
滞納処分の執行に支障がない限り、第三者が有する権利を害さないように努めなければならないことから、第三者による差押換えの請求制度が定められている。併せて相続人の権利の尊重について押さえておくべきである。
◇ 平成28年度〔第ニ問〕問2に出題
第5回滞納処分手続各論(4)ー差押えの手続
各財産(動産、債権、不動産、無体財産権)の差押えの手続及びその法律効果について説明する。
第三者が占有する動産等の差押えに当たっての第三者の権利保護について取り上げる。
◇ 平成27年度〔第一問〕問1に出題
◇ 平成28年度〔第一問〕問1に出題
◇ 平成29年度〔第ニ問〕問1に出題
第6回滞納処分手続各論(5)ー差押えに関する論点整理
差押えに関する論点について、近年の判例を踏まえ説明する。
・普通預金の実質的帰属認定について取り上げる。
・私的整理事務を受任した弁護士の預り金口座の帰属を
 説明する。
・生命保険契約解約返戻金の差押えと解約権行使の可否
 について説明する。
・差押禁止債権を原資とする預金債権の考え方を説明す
 る。
第7回滞納処分手続各論(6)ー給料等の差押禁止
差押えが禁止されている財産について説明する。
給料等の債権の差押え禁止について理解を深める。
◇ 平成28年度〔第一問〕問1に出題
第8回滞納処分手続各論(7)ー交付要求
交付要求の手続要件及びその法律効果ならびにその論点について説明する。
・交付要求、参加差押手続、効果について取り上げる。
・破産手続前の滞納処分に対する交付要求に係る配当金の
 交付先について説明する。
第9回滞納処分手続各論(8)ー交付要求及び参加差押えの効力
交付要求及びその特殊な手続である参加差押えの法律効果並びにその論点について説明する。
・交付要求、参加差押手続の効果及びその相違点について取り上げる。
◇ 令和元年度〔第一問〕問1に出題
第10回滞納処分手続各論(9)ー公売手続
差し押さえた財産の換価から配当に至る手続の内容とその論点について説明する。
・公売実施手続の概要について取り上げる。
・期間入札の手続の流れを説明する。
・見積価額の決定について説明する。
◇ 平成30年度〔第一問〕問1に出題
第11回滞納処分手続各論(10)ー換価の効果
各種財産の権利移転手続、担保権の消滅等について説明する。
◇ 平成27年度〔第一問〕問1に出題
第12回財産の調査(1)-質問、検査権
財産調査の方法及び留意すべき事柄並びにその論点について説明する。
・質問、検査について取り上げる。
◇ 令和元年度〔第一問〕問2に出題
第13回財産の調査(2)-捜索
財産調査の方法及び留意すべき事柄並びにその論点について説明する。
・捜索について取り上げる。
・捜索の性質、刑法との関係について説明する。
◇ 令和元年度〔第一問〕問2に出題
第14回相続関係
相続による納付義務の承継、相続人の権利の尊重について説明する。
相続に対する差押えの効力について説明する。
◇ 平成28年度〔問二問〕問1に出題
◇ 平成28年度〔問二問〕問3に出題
第15回国税徴収法の論点整理
前14回の講義で説明した国税徴収法上の論点を整理する。
小テスト
授業形式 講義と演習を行う。課題についてのフィードバックは原則として授業中に行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 20% 50% 30% 0% 100%
評価の特記事項 本課題は実習形式で行うので、相対評価は行わず、絶対評価とします。授業への参画度、課題の提出状況、小テストの点数などを総合的に評価します。
テキスト 国税徴収法精解
参考文献 授業時に指示する。
オフィスアワー(授業相談) 授業時に指示する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 課題について、テキスト国税徴収法精解により、十分に予習する。