優秀賞 個人部門(学部生) 飛留間 ゆいか

学習指導要領から考える会計教育
—「主体的・対話的で深い学び」を会計教育でどう実現させるか—

 平成30年度に文部科学省が定める教育課程である学習指導要領が改訂され、高等学校の商業科の会計教育でも新たに「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の学習過程の実現に向けた授業改善を重要視するようになった。
 本稿では、実際の高等学校の商業科の会計教育で「主体的・対話的で深い学び」は取り入れられているのかアンケートを実施・分析し、その教育効果・必要性・課題について調査したうえで、どのように高等学校の商業科の会計教育でアクティブ・ラーニングを実現させるか検討した。
 A高校の商業科の教員及び各学年の生徒を対象に、アンケートを実施した。その結果、各学年の生徒の過半数以上は「主体的・対話的で深い学び」を授業に取り入れる必要性を感じていた。また、学習指導要領が定める目標である「知識・技術」と「学びに向かう力・人間性等」では各学年の過半数以上の生徒が達成したと回答したことからも、「主体的・対話的で深い学び」の必要性はあると言える。一方、教員からの回答では、「どのような授業を主体的・対話的で深い学びというのか」など定義の曖昧さや授業準備などの課題が明らかとなった。
 また、会計教育におけるアクティブ・ラーニングの先行研究では、多くが大学教育を対象としたものであり、高等学校を対象としたものは少ないと言える。そのため、高校生を対象に「主体的・対話的で深い学び」を取り入れた授業を行う前提で、原価計算の個別原価計算の単元を大学生に実施し、高校生に実施したアンケートと同様の内容でアンケートを行った。その結果、学習指導要領が定めているそれぞれの目標を「達成した」と回答する学生が70%以上となり、アクティブ・ラーニングの教育効果が一部認められる結果となった。
 これらの研究結果から、高等学校の会計教育において生徒の知識や技術の習熟度に合わせて段階的にアクティブ・ラーニングを取り入れることは、その教育効果が発揮されているため有効である。