優秀賞 グループ研究部門(学部生)
    森田 晴香 ・ 髙橋 菜々子 ・ 長澤 泰希 ・ 劉 欣晨

女性登用は企業行動を変容させるか?
:男女間賃金格差と企業パフォーマンスへの影響

 古い慣習が残る伝統的な日本企業(Japanese Traditional Company)を活性化させるためには、取締役・管理職の多様性確保だけでなく、男女間賃金格差の解消など幅広い取り組みが不可欠である。女性管理職比率や男女間賃金格差の有報開示が2023年3月期から義務づけられたことで、これら諸変数の相互関係を検証する素地が整いつつある。本論文は、日経500構成銘柄の有報データ等を用いて上場企業が進めてきた女性登用がどのような帰結をもたらしたか検証したものである。分析の結果、女性取締役比率は男女間賃金格差に有意な影響を及ぼしていないが、女性管理職比率が高い企業ほど男女間賃金格差が縮小する傾向にあることが確認できた。トービンのqやROAを被説明変数とする定式化では、女性管理職比率が高いほど、そして男女間賃金格差が小さいほど企業パフォーマンスが高まることが確認できた。ジェンダー多様性確保や男女間賃金格差の解消は公平性や包摂性の体現でもあるが、本論文の分析結果はそれらが善行ではなく、有効な人的資本投資となっていることを示唆している。