Seminar
ゼミナール
大橋ゼミ
テーマ
社会的選択理論
分類
専門研究
担当教員
大橋 賢裕 Ohashi Yoshihiro
ゼミの内容
文化
経済の仕組み
社会の仕組み
数学・統計
人の思考・感情・行動
ゼミの特徴
じっくり研究型
Q. ゼミではどんなことを研究していますか?

社会的選択理論を学びます。社会的選択理論とはなにか。おおざっぱにいうと、個々人の好みをもとに社会の決定をおこなうときの理想的なルールを論理的に考える学問です。たとえば「多数決で物事を決める」というのはよくありますが、みなさんはいつも自分のいちばん好きな選択肢を選んでいると、胸を張って言えるでしょうか。多くの人が選びそうな選択肢がちらついて、自分の選択を変えることはないでしょうか。みんなで物事を決めるときに、『ウソをつくとその人が得をするルール』を採用するのはイヤですね。しかし多数決というルールは、ウソをつくとその人が得をすることがあるようです。

 このゼミでは、社会的選択理論の基礎である「アローの一般可能性定理」の内容を証明付で学びます。かなり抽象的な話が続きます。大学でしか学べないこと(独力で学ぶのはかなり難しいこと)に挑戦します。

Q. ゼミの様子は?

 2年次は、社会的選択理論の基本文献を輪読します。情報を正しく理解する力と、情報を正しく伝える技術の両方を身につけることが目標です。ごまかしは許されません。報告者はゼミの場で決まります。毎回全員が発表準備をしなければなりません。教員による講義も時々入ります。3年次は、2年次で学んだ基礎知識を前提に、別の文献を輪読します。

Q. ゼミの特徴は?

教員による密な指導を重視しています。とくに、数理的・論理的な思考能力の向上を非常に重視しています。

これまでの卒業論文・研究論文のテーマ例

~行動経済学~

  • 強制を伴わない自粛行動のための施策について
  • 断捨離と保有効果
  • 物理的環境が人の行動に与える影響

など。(これまでは行動経済学をゼミナールで学んでいました。社会的選択理論のテーマはまだありません。)

学生へのメッセージ

ゼミは、普通の講義とは異なり、教員と学生とがより近い距離で「互いに」「真摯に」学び合える場だと思っています。教員はいろいろ指導をしますが、逆に学生から教えられることもあります。互いに真摯な学び合いを通じることで、人生をより豊かにしたいと思う人に来てほしいです。また、「ありがとう・ごめんなさい」には上下関係はありません。ゼミでの学習を通じて、人間的にもお互い成長しあうのが理想です。

研究成果

人の嘘や不正について関心があります。かけだしの頃は、利己的な人に嘘や不正をさせないためには制度をどのように設計すればよいかという問題を研究していました。数学を使って、望ましい制度を設計するための条件を決定するという抽象的な研究です。それから応用研究にも手を広げました。たとえば預金制度に関して、従来は脆弱な制度と考えられていましたが、利己的すぎて(?)、自分の好みに忠実に行動したい人を想定すると、預金制度は実は結構頑丈に設計できることを発見しました。他の応用例としては、証券取引おいて、相場操縦という犯罪を未然に防ぐための取引ルールの設計を考えたりしています。私の研究は、冷静に判断できる人と、ぼんやりしてなんとなく行動してしまう人の両方を対象にしています。現在は、一部の人の歪んだ判断で社会がよこみちにそれないような制度設計の可能性について研究しています。

ゼミ合宿の様子

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