なぜ銀行の預金金利は低いの?

銀行にお金を預けている人は多いと思いますが、通帳に記載されている利息が少ないと思ったことはないでしょうか?利息が少なすぎて、その存在自体に気づいていない人もいるかもしれません。このコラムでは、なぜ銀行の預金金利が低く利息が少ないのかを、皆さんと一緒に考えたいと思います。

When

いつから銀行にお金を預けても利息がつかないの?

皆さんが銀行にお金を預けると、利息という形で収入を得ることができます。しかし、その金額はほとんどゼロに近いと思います。なぜなら、普通預金の金利が0.001%というように非常に低いためです。例えば、100万円を1年間、銀行に預けても10円しか利息を得ることができません。では、30年前、預金金利はどれくらいの水準だったのでしょうか? 1990年には、図のとおり普通預金の金利は2%を超える水準でした。つまり、100万円を1年間、銀行に預ければ、2万円の利息を得ることができました。この水準が下がり続け、今の非常に低い水準になりました。

データ出所:日本銀行ホームページ

Who

誰が預金金利を決めているの?

銀行が預金金利を決めています。預金金利が高ければ、銀行は多くの資金を集めることができます。ただし、この集めた資金を効率的に運用できなければ、銀行の収益が低下します。この場合、銀行はお金が集まらないように預金金利を下げます。最近は収益が得られる運用先が乏しいため、預金金利が下がる傾向にあります。このほかに、預金金利を決める大きな要因として、日本銀行(日銀)の金融政策が挙げられます。

Why

なぜ預金金利が下がったの?

預金金利が下がった大きな要因は、長期にわたる日銀の金融緩和政策です。1990年代のバブル崩壊後の長引く不景気への対策として、日銀はさまざまな方法により民間の銀行への資金供給を増やしてきました。それにより、銀行の金利は非常に低い水準になったのです。

銀行にお金を預けるのと株式に投資をするのはどっちがいいの?

皆さんが銀行にお金を預けても、ほとんど収益を得ることはできません。では、株式投資をすれば、多くの収益を得ることができるのでしょうか。確かに、銀行にお金を預けるよりも株式投資をしたほうが、収益が多くなることがあります。しかし、株式投資をして企業の株価が低下すれば、損をすることもあります。一方、銀行にお金を預ければ、損をすることはほぼありません。このように株式投資は儲かるけれども損をするリスクも高い、という性質を持っています。収益の大きさを重視するか、損をするリスクの回避を重視するかにより、どちらが良い投資方法なのかが変わってきます。

他の国も預金金利が低いの?

アメリカやユーロ圏の国々も、日本と同じように大規模な金融緩和を行った結果、金利が非常に低くなることがあります。しかし、日本のように長期にわたって金融緩和政策を行っている国は無く、世界の国々から日銀の政策に大きな注目が集まっています。

コラムを書いてくれたのはこの先生

鶴田 大輔 教授 DAISUKE TSURUTA

PROFILE

1999年青山学院大学経済学部卒業、2004年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、2017年東京大学より博士(経済学)を取得。政策研究大学院大学助手、助教授を経て、2010年より日本大学経済学部准教授、2015年より教授。

THEME

専門は企業金融論。数万から数百万社の中小企業のデータを統計的に分析し、中小企業の活動や金融行動を実証的に研究しています。

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