会計ってそもそも何なの?

高校時代までの生活では、ほとんどの人にとって、「会計」はあまり馴染みのない言葉ではないかと思います。しかし、実際には、子供の頃の「お小遣い帳」や家庭での「家計簿」など、私たちの日常生活の様々な場面ですでに「会計」に触れているのです。そこで、会計とはそもそも何なのか(WHAT)、まただれが会計を行うのか(WHO)、なぜ会計は重要なのか(WHY)、どのように会計情報は利用されているのか(HOW)について、できるだけわかりやすく解説します。

What

会計とはそもそも何なのか?

会計とは、ある特定の経済主体の経済活動を記録し、その記録を集約して情報として伝達するプロセスです。

会計とは、個人、企業、政府などの経済主体の経済活動(経済事象)を、一定のシステム(複式簿記など)を用いて記録し、集約して会計情報として利害関係者(ステークホルダー)に伝達することです。経済活動と会計情報の間に写像関係が成立するように記録されことにより、利害関係者は会計情報を読むと、その経済主体がどのような経済活動を行なったかを理解することが可能となるのです。

Who

だれが会計を行うのか?

個人、家族、政府、営利組織である企業、非営利組織など。

経済主体には、個人や家族、国や地方公共団体などの政府や政府関連機関、個人商店や株式会社などの営利組織である企業、公益法人や学校法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)などの非営利法人のみならず、法人格をもたない町内会や自治会、サークルなどがあります。経済主体が生計を一にする家族であれば家計、政府であれば政府会計、企業であれば企業会計、非営利の法人・団体であれば非営利会計と呼ばれています。

Why

なぜ会計は重要なのか?

特定の経済主体に様々な利害関係のある人々(利害関係者)は、受け取った会計情報を観察・分析することにより、その経済主体の経済活動の内容や実態を把握・理解することができるからです。

例えば、株主などの企業に資金を拠出している出資者は、企業が作成する会計情報である貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を分析することによって、過去1年間の企業の経済活動の結果としての財政状態や経営成績を把握することが可能となります。財政状態とは、企業の財産がどれだけあるのか、そしてそれがどのような原因によって生じたのかという情報です。また経営成績とは、どれだけの儲けがあったのか、そしてその儲けはどのようにして獲得したかという情報です。

How

どのように会計情報は利用されているのか?

利害関係者は様々な意思決定を合理的に行うために、会計情報を利用することができます。

例えば、資本市場で株式投資を行う投資家は、会計情報を利用して、どの企業の株式に投資するのか、また保有している株式を売却するのかなどの意思決定を行っています。企業の経済活動が写像された会計情報を分析し、その企業の経済価値(企業価値)を推定し、その推定した企業価値に基づく一株当たりの価値と市場における株価を比較して、株式を購入するか、売却するか、もしくは保有し続けるかなどの判断を行うのです。

会計には、様々な学びの視点がある。

会計は、ある特定の経済主体の経済活動を記録し、その記録を集約して情報として伝達するプロセスであるので、様々な視点・観点・立場から学ぶことができます。経済主体については、企業のみならず、政府や非営利法人の観点から学ぶことができます。また記録するシステムについても複式簿記のみならず、他の方法を探求することもできます。さらに会計情報の伝達という視点からは、どのような財務諸表や財務報告を作成することが、ある特定の経済主体の経済活動を適切に写像しているかを検討することもできます。会計の学び方はいろいろです。

コラムを書いてくれたのはこの先生

尾上 選哉 教授 Eliya ONOE

PROFILE

米国大学院への留学後、2001年青山学院大学経営学研究科博士後期課程を満期退学。福山大学、吉備国際大学、大原大学院大学を経て、2020年4月より現職。

THEME

専門領域は会計学。特に、公益法人や宗教法人などの非営利組織における会計や税務の制度や理論(あるべき姿)を研究テーマとしています。

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