私たちはこれからどのように働くのでしょうか?

皆さんの多くは、大学を卒業すると、企業に雇われて、または公務員として働くことになります。50年を超えるかもしれない長い労働人生について、私たちはどのように考えれば良いのでしょうか?

What

働き方改革とは、どのような取り組みですか?

長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方を実現するなどの取り組みです。

2019年の4月から、いわゆる「働き方改革関連法」が施行されています。これは、これからの人口減少社会において、より多くの人が健康に働き続けることを目的とした取り組みです。これまでの日本では、会社が強い人事権を持ち、労働者は会社の命令があれば配置転換や転勤、また長時間の残業を受け入れることが当然視されている正社員か、または不安定な非正規社員という形で働き方が二極化していました。しかし人手不足の時代においては、多様な働き方を実現することで、より多くの人に活躍してもらうことが必要です。

Who

これからの日本で誰が活躍するのでしょうか?

女性や高齢者に加えて、ロボットの活用や外国人労働者の活躍も期待されています。

これまで働く希望があっても、例えば子どもを預けることが難しい女性が働き続けられないといった問題がありました。そこで保育所や学童保育を充実させるといった取り組みが行われてきました。また働きたい人の阻害要因を減らすことに加えて、ITやロボットの活用で生産性を向上させることも積極的に行われています。そして人手不足が深刻な分野で、より多くの外国人労働者に働いてもらうために、特定技能という新しい在留資格も創設されました。しかし外国の方にとって働きたいと思える魅力的な国にする取り組みも必要でしょう。

Where

私たちはどこで働くのでしょうか?

利便性の高い都市部だけでなく、高齢者が多い地方や、外国で働くこともあります。

これからの人口減少社会でも、利便性の高い都市部などは人口が増え続けます。しかし郊外は、急速に人口が減少するという空間的な選択と集中も進むことが予想されています。これから誰がどこに住み、どこで働くのかということが問題となるのです。その際に、医療や介護分野では、高齢者が住み続けている地方都市で働くことも必要でしょうし、場合によっては働く場所を求めて海外に移住する選択をする若者も増えると思われます。

Where

リスキリングが注目されている理由は何ですか?

変化が激しい時代には、新たな分野や職務に必要なスキルの習得が必要だからです。

現在、IT業界や医療・介護分野では深刻な人手不足に直面しています。そして新しく働き出す若者がこれらの分野に就職することだけでは、この人手不足は解消されません。そのため、異分野ですでに働いている人が、キャリアの途中において学び直しを行い、社会的な重要性がより高い分野へと移動することが求められています。その際には、本人の努力だけではなく、社会的なサポートも必要になることから、さまざまな支援策が導入されています。

コラムを書いてくれたのはこの先生

安藤 至大 教授 MUNETOMO ANDO

PROFILE

1976年東京生まれ。2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授、日本大学大学院総合科学研究科准教授などを経て、2018年より現職。社会的活動として、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で公益代表委員などを務める。

THEME

契約理論/労働経済学/法と経済学

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