Q. ゼミではどんなことを研究していますか?
「環境問題と経済活動」、「環境政策の経済学的分析」の両方を勉強しています。いま環境対応は、経済活動において中心的な論点の一つになっています。例えば、国際的な気候変動への対応は、国際貿易、製造業のサプライチェーン、消費者向けマーケティングなどでも重要な条件です。また国や自治体では、ますますSDGs的な思考が重視されています。さらにESG(環境・社会・ガバナンス)投資、グリーンニューディールやグリーン雇用など、環境と経済を融合させる経済活動や政策も活発になってきています。
そのためゼミでは、環境問題だけでなく、広く経済活動、企業活動にも視野を広げています。具体的な事例を対象に研究することが多いので、就職活動に向けての社会情勢、企業研究にも通じるところがあると思います。
例えば、再生可能エネルギーを普及するためには、環境意識だけでなく、コスト低減のための政策、エネルギー市場における各エネルギーの競争条件の公平性、また再エネ推進が同時に経済波及効果や雇用創出に貢献するなどの経済効果が重要です。そのような「環境と経済」の関係をゼミでは研究します。
ゼミでの学びで大切にしていることは、知識をもとに、それらを論理的かつ的確に表現できるようになることです。2年生では、文献を読み、文章の書き方、要約やレジメ作成の方法を学びます。またゼミ内でグループに分かれて、ディベート大会を行って話す、聞く、臨機応変に応答する練習をします。グループに分かれて自主的な事前研究をし、議論のポイントや戦略の立て方、質疑応答や効果的な説得の仕方などを学びます。
3年生では、さらに個別の環境問題のトピックスについてグループ研究を進め、学内ゼミや他校との論文発表会などで発表します。問題の立て方、論理の進め方、データや文献資料の使い方、アンケートやヒアリングの方法、パワーポイントによる発表や効果的なプレゼンテーションの仕方なども指導します。
4年生では、就職活動も重視しながら、各人の問題関心によって、卒業論文をまとめたり、2年生や3年生の手伝いをしてゼミ内での活動に参加します。
Q. ゼミの様子は?
ゼミの雰囲気は和やかだと思います。話したり、グループワークをする機会が多いので、最初は言葉が少なくても、課題をこなし、ディベート大会やグループワークをするうちに、自分の言葉で自身の考えを述べられるようになっていきます。
なかでも2年生の秋に行なうディベートは、ゼミ生たちがとても楽しそうです。ルールに基づいて勝敗を争うのですが、人前で話すのが苦手だったゼミ生も、事前準備によって、とてもよい応答ができるようになっていきます。テーマも、環境問題だけでなく、脳死の問題やAIなど社会問題も取り上げています。このテーマもゼミ生で決めます。
ゼミでは、関心のあるテーマについて、議論の論点となっていることはなにか、自分とは異なる視点から見ること、一つの問いを立てそれらをどのように論証するのか、それらを経済学の理論でどのように解釈するかなどを、ディベートやグループ研究の中で身につけていきます。課題は課されますが、その分、大きく成長できると思います。
Q. ゼミの特徴は?
年に1回、現場見学や体験型の合宿をします。合宿場所の選定や交通・宿泊、インタビューのアポイントや引率などをゼミ生が行います。これまでに、富士山麓の不法投棄片付けボランティア、岩手県葛巻町の牧場体験と再エネ見学、高知県中土佐町のCO2オフセットの森林見学などにも行きました。実際に目で見る、ということを通して、生きた社会を学べる機会にしたいと思っています。
3年生のグループ研究は、11月に学内ゼミとの発表会、12月に他大学の環境経済論のゼミとの論文発表会で成果を発表します。発表後は達成感もあり、またほかのゼミや先生の様子もわかって、楽しいイベントだと思います。
これまでの卒業論文・研究論文のテーマ例
- 食品ロスの是正策―外食産業へのアプローチ
- 使い捨てプラスチックの生産/販売/消費への規制と海外事例
- 洋上風力発電と国内サプライチェーン
- 環境金融(ESG)投資拡大のための個人投資家の活用
- 貿易と環境-環境規制はどのような場合に正当化されるか
- サーキュラーエコノミー実現-製品の長寿命化には
- 不便益(不便の益)から環境制約を考える
- 弱い持続可能性と強い持続可能-それぞれの社会の姿 など
1年間の主なイベントスケジュール
4月 | 新ゼミ生歓迎会 |
9月 | ゼミ合宿と合宿先での現地見学や体験学習 |
9~11月 | 2年生のディベート大会 |
11月 | 日本大学経済学部での学内発表会 |
12月 | 他大学の環境経済論ゼミとの論文発表会 |
2月 | 卒論発表会・卒業生送別会 |
OB・OGの就職業界TOP3
- 製造業(食品・衣料品・自動車・薬品などのメーカー)
- 流通業(商社・百貨店・量販店など)
- 公務(省庁・地方自治体・警察・消防など)
学生へのメッセージ
根本ゼミでは、ゼミ生自身の関心と個性を大切にしています。またゼミでの学習や活動を通じて、就職活動前には「何かをやり遂げた!」と思えるような機会を提供したいと思っています。ゼミでの経験が、「卒業までにこういう人になりたい!」と思う学生たちの手助けになればと思っています。
研究成果
「倫理的消費(エシカル消費)」の理論と実践を研究しています。「倫理的消費」とは、消費者自らが、環境保全や生産者の労働条件に配慮した商品の購入やライフスタイルの実践により、「市場での消費」を通じて社会をよりよいものに変えていこうとする消費のことです。
具体的な例として、フェアトレード商品や、生産者と消費者が有機農産物を直接取引をする日本の「産消提携運動」などがあります。研究ではこの「倫理的消費」について、消費者による主体的な「環境消費者運動」という視点から、それらの環境経済思想としての背景、消費者倫理と経済行為の関係性などについて研究しています
ゼミ合宿にて
ゼミ合宿にて