Q. ゼミではどんなことを研究していますか?
当ゼミのテーマの1つ「ことば」についての学びとは、主にさまざまな言語(例えば英語・日本語・アイヌ語)の間の関係、そしてある言語での言葉使いが挙げられます。もう1つのテーマ、「人権」を学ぶことは、簡単にいえば、人は、国籍・性別・年齢や経済状況などの条件に関係なく、他の人や組織から、どのように尊重されるべきかを知ることです。
「ことばと人権」の2つをからめた研究、つまりこのゼミの大きな研究テーマは、私たちの生活や将来は、言葉によってどの程度決められているか、ということです。
はるか昔、体の弱い人間は強い人間に、人数の少ないグループは人数の多いグループに支配されていましたが、現在はそのような物理的な「力」ではなく、経済力と言語力がもっとも重要とされています。当ゼミでは、そのうちの「言語力」の影響に焦点を当てます。例えば、日本人は長年英語を勉強しますが、その本当の理由はなんでしょうか? 日本語が母語ではない人が日本に住むとき、平等に扱われているでしょうか? 世界の子どもたちは、自分の国の母語で教育を受けているでしょうか? ニュースや広告で使われている言葉によって、情報はどのように操作されているのでしょうか?……こうした疑問を解き明かしていきます。
Q. ゼミの様子は?
日本人が長年英語を勉強する理由はなんなのか、日本語が母語ではない人は日本で平等に扱われているのか、世界の子どもたちは母語による教育を受けているのかどうか……など、気になるトピックをまず自由に議論した上で関係課題を選び、グループ・ペアー・個人で研究に取り組み、プレゼンテーションをします。
研究のためには、図書館(大学だけではなく、近くにある国立国会図書館なども)の使い方・ウェブの検索方法・参考文献の書き方・文書の分析・事実と意見の組み合わせ・説得力のある文章の作成などのスキルが欠かせません。こうしたスキルを学ぶ機会もあり、実際に社会に出たとき、どんな職種に就いたとしても役立ちます。
Q. ゼミの特徴は?
決まった進行方法はなく、ゼミ生が決めることが多いです。ただしそれを決めるためには、国内・国際社会の政治知識が大切です。それを学ぶために、各自の自習・クラス討論・NGOへの参加 (例えばアムネスティ・インターナショナル、国際労働機関)・法廷の訪問など、さまざまな研究活動を奨励しています。
これまでの卒業論文・研究論文のテーマ例
- マイノリテイー言語を使う労働者
- アイヌ語の将来
- 日本語と英語の敬語の比較
- 日本語と沖縄文化の摩擦
- 法廷通訳に関する問題
- 中学校での特別支援教育
- 多文化共生における日本語教育
- ミャンマーの多言後教育
1年間の主なイベントスケジュール
04月 新ゼミ生歓迎会
05月 3・4年生合同コンパ
06月 プレゼン体育会
09月 NGO訪問
10月 フィールドワーク
11月 プレゼン体育会
02月 合宿
OB・OGの就職業界TOP3
- 公務(省庁・地方自治体・警察・消防など)
- 教育・学習支援(学校教職員・学習塾など)
- サービス事業(税理士・会計士・コンサルティングなど)
取得者の多い資格
- 英語・中国語・スペイン語の公開試験(TEOICテストなど)
- 簿記検定
学生へのメッセージ
当ゼミは、日本語だけではなく、英語のコミュニケーション・スキルも磨きながら、自分で考え、自分で生活や将来を主体的に決めていける社会人を育てる場です。
「ことばと人権」はかなり広いテーマですが、関係するトピックを勉強したいと考えている方は、遠慮なく私に連絡してください。学生の提案はゼミの研究トピックになるかもしれません。教員の役割は教えることだけではなく、ゼミ生と一緒に勉強していくことにもあります。
研究成果
今は英語と言語学を教えていますが、社会学と法学を学び、ロンドンの法律事務所に勤めていた経験もあります。言語学を研究しはじめてから、主に人権・市民権および社会と教育における言語バリヤーを専攻しました。博士論文のテーマは、マレーシアの二言語司法制度でした。
多言語社会での法学教育・法廷通訳・法率制度のアクセス・マイノリティー民族の権利に関する学術論文を執筆し、異文化理解に関する教科書も書いたことがあります。法と言語学会の役員として、日本では法廷通訳・法律専門用語の難易度およびマスコミで現れる法律関係のイメージを研究しています。海外では主に東南アジアの法律・教育制度での言語バリヤーを研究しています。
プレゼンのコンペ
卒業生のコンパ