廣野桂子教授の論文「仮想市場法による住宅の設備の評価」（資産評価政策学第38号所収）が、2020年６月３日に、資産評価政策学会より「2020年度資産評価政策学会論説賞」を受賞しました。
この論説は、第一に、仮想市場法による住宅の設備の評価を提案し、それはどのようなもので、どういった手法で行うのかについて、論じたものです。この提案を行った理由は、仮想市場法は市場がない財の評価を行う手法であり、住宅に付いた設備には市場がないからです。第二に、仮想市場法による住宅の設備の評価の例として、震度7の地震に対応する耐震化設備への評価を、東京都と宮城県の賃貸住宅について計算しました。
賃貸の共同住宅の震度７の地震に耐える耐震化工事への消費者の支払意思額を仮想市場法で計測した研究は、本研究が最初です。
なお、この論文に、耐震化工事を行う企業の収益と、必要な補助金の額についての分析を加えた論文が、矢口和宏氏との共編著「東日本大震災から10年：再生・発展における課題の分析：経済分析とメンタルケアの視点から」（大成出版社、2020年）に掲載されています。