髙𣘺孝平専任講師の論文“Specialists and generalists in adaptive organizations”が国際学術誌Labour Economicsに掲載されました。同誌は、労働経済学の分野において世界トップクラスの権威を持つ専門ジャーナルです。
本研究は、企業などの組織において「特定の分野に精通するスペシャリスト」と「幅広い経験を持つジェネラリスト」を、それぞれどのような割合で配置するのが最適なのかを明らかにしたものです。
本研究では、理論モデルの構築により、従業員同士の調整がより重要になる組織や、調整が重要な組織の中でも特に市場の不確実性がより高い環境にある組織においては、組織内のジェネラリストの割合を増やすことが企業にとって最適であることを導き出しました。反対に、市場環境の変化への適応がより重要になる組織ではスペシャリストの割合を増やすことが最適となります。
さらに、日本の大手総合商社の直近40年にわたる社員の異動履歴データを用いて、この理論が現実のビジネスの世界でも成り立っているかを検証しました。その結果、市場環境の変化への適応が重視されるトレーディング分野にはスペシャリストが多く配置され、社内外との複雑な連携が求められる事業投資分野にはジェネラリストが多く配置されていることを確認しました。また、調整が重視される事業投資分野の中でも、市場の不確実性が高い部署ほど、ジェネラリストの割合が高く、理論と整合的であることを示しました。
これまでの研究は「スペシャリストとジェネラリストのどちらが良いか」という個人の能力に注目した研究にとどまっていました。これに対し、本研究は「組織戦略としてどのような割合で人材を育成・配置すべきか」という課題を、理論と実在する企業のデータを用いて検証した初めての研究として学術的に貢献しています。
原文は以下のリンクをご覧ください。
https://doi.org/10.1016/j.labeco.2026.102917