大橋ゼミ

Q. ゼミではどんなことを研究していますか?

 「個人の行動と社会との関係」をテーマに、いろんなことを学びます。これまでは、分野で言うと、「行動経済学」と「社会的選択理論」を取り上げました。行動経済学を取り上げたときは、ヒトの行動にはどんな癖があるのかを学び、それを教訓に、よりよい意思決定をするための社会の制度作りを考えました。社会的選択理論とは、選挙・投票のように、個人の好みを集計して社会全体の好みを決めるときの決め方を、記号論理を用いて考える分野をいいます。社会においてどんな決め方があるか、そして各決め方の利点と欠点とを学びました。これら二つは異なるテーマですが、共通するのは、個人の行動をもとに、社会のあり方を考える点です。2~3年次を通じて、一つの分野を学びます。どの分野になるかは年によって異なります。詳しくはゼミナール募集時期に公開されるゼミナール紹介の専用ページをご覧ください。

Q. ゼミの様子は?

 2年次は、テーマに関係する基本文献を輪読します。情報を正しく理解する力と、情報を正しく伝える技術の両方を身につけることが目標です。ごまかさず、真摯に取り組む力を養います。毎回全員に発言を求めますので、毎回の予習は欠かせません。教員による講義も時々入ります。3年次は、2年次で学んだ基礎知識を前提に、より発展的な(別の)文献を輪読します。

Q. ゼミの特徴は?

教員による密な指導を重視しています。とくに、論理的で注意深い思考能力の向上を非常に重視しています。また、教員と学生との対話による学びを積極的に行います。他のゼミや大学との交流はありません。

これまでの卒業論文・研究論文のテーマ例
~行動経済学~
  • 強制を伴わない自粛行動のための施策について
  • 断捨離と保有効果
  • 物理的環境が人の行動に与える影響
  • 行動経済学を使ったプロ野球/Jリーグの運営方法の提案
  • 行動経済学を使った古着屋経営の方法論

など。(これまでは行動経済学をゼミナールで学んでいました。社会的選択理論のテーマはまだありません。)

Q.1年間の主なイベントについて教えてください

ゼミ合宿を行うことがあります。過去数回行いました。行わない年もありました。これまでの合宿先は河口湖(山梨県)、伊豆高原(静岡県)、軽井沢(長野県)でした。

学生へのメッセージ

ゼミは、普通の講義とは異なり、教員と学生とがより近い距離で「互いに」「真摯に」学び合える場だと思っています。教員はいろいろ指導をしますが、逆に学生から教えられることもあります。互いに真摯な学び合いを通じることで、人生をより豊かにしたいと思う人に来てほしいです。「ありがとう・ごめんなさい」には上下関係はありません。互いに尊重し合える関係を目指したいです。ゼミでの学習を通じて、人間的にもお互い成長しあうのが理想です。

研究成果

人の嘘や不正について関心があります。かけだしの頃は、利己的な人に嘘や不正をさせないためには制度をどのように設計すればよいかという問題を研究していました。数学を使って、望ましい制度を設計するための条件を決定するという抽象的な研究です。それから応用研究にも手を広げました。たとえば預金制度に関して、従来は脆弱な制度と考えられていましたが、利己的すぎて(?)、自分の好みに忠実に行動したい人を想定すると、預金制度は実は結構頑丈に設計できることを発見しました。他の応用例としては、証券取引おいて、相場操縦という犯罪を未然に防ぐための取引ルールの設計を考えたりしています。私の研究は、冷静に判断できる人と、ぼんやりしてなんとなく行動してしまう人の両方を対象にしています。現在は、一部の人の歪んだ判断で社会がよこみちにそれないような制度設計の可能性や、文化進化に関心をもって研究しています。

ゼミ合宿の様子

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